OGUMA    日々軌 小熊廣美の日々新

規格外の書家を自認している遊墨民は、書は「諸」であるという覚悟で日々生きている。

気楽に綴らせていただきます。

花の段

2013年10月16日 | 文化・芸術
台風模様のなか、国立劇場へ一中節を聴きにいく。

今回はお弟子さんも総出演である。 

気功太極拳の出口さんも、とうとう一中節にはまる。
一中節の声の出し方は、まさに気功である、と。

曲や出演者の構成もよく、シンプルな舞台は気品あり。
最後は一中さんと女性陣総出演の「花の段」。
闇のなかに光り散るさくらをしばし観る。そして、匂うばかりのさくらのような着物姿の女性たち。

その曲は、谷崎潤一郎詞。現代の古典である。
『細雪』をモチーフにした詞には、谷崎の思いがつまり、一中さんの思いとつながる。

いとせめて 花見ごろもに花びらを
秘めておかまし春の名残にと 姉の幸子が詠みて候

でその詞は終わる。


「いとせめて 花見ごろもに花びらを 秘めておかまし春の名残に」と姉の幸子は万感の思いをこめて詠みました。
一見儚く壊れやすいように見える日本文化の繊細な美意識は 実は 戦争などのいかなる社会変動にも 決して犯されることがない強靭なものだと言うことを 糸桜の花びらを しまう着物に秘めることで 未来へ伝えようとしたのです。 

とは、現代語意訳。一中さんの思いそのままだろう。




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