OGUMA    日々軌 小熊廣美の日々新

規格外の書家を自認している遊墨民は、書は「諸」であるという覚悟で日々生きている。

気楽に綴らせていただきます。

2024年08月21日 | 文化・芸術

松岡正剛さんが亡くなった、とニュースで。80歳。

私は書を初めてまもなく、雑誌「遊」に刺激を受けた一人。

あれからざっと40年。

今年1月4日、永井画廊主催のイベントでスピーカーの一人として登壇。

“みんな絵画を持ち上げすぎなんですよ”とポツリ。

その言葉が一番印象に残る。

視点が鋭く、文化文明を俯瞰しながら舌鋒をふるった。

周りには、直接縁のあった人もちらほらいるが、こちらはどこか斜めにみながらいて、どこか憧れていた。

 

書の理解者が一人減ってしまった。

 

 

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線が造形の基本

2024年03月23日 | 文化・芸術

線は自然界にない、人間が作ったできたもの。

線が造形の基本。……。

(真意を語ってないおそれがあるがお許しを)

 

とベテラン現代美術家は語った。

知人の美術家との二人展に伺ったとき、お茶をいただきながら、その方が穏やかに語った。

その方の映像も流れていた。干潟を押し船で行く。浜辺を、木枝を大筆のように使って砂にストロークを刻む。

安っぽい書道パフォーマンスのような気負いはない。ただ、動いて、浜辺に線条が残り、押し寄せる波で消されていく。

線が人間によって刻まれ、自然界のなかに消えていく。

 

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2023年12月01日 | 文化・芸術

山本さんのところで茶杓つくりを一年前に予約していた。

その日がやってきた。

茶人でもないのに、作りたかったのだ。

一本目、先を薄く削りすぎて、割る。

二本目、素性はイマイチのものを削っていく。

ほかのメンバーはお茶をやっている方々で、細身のすばらしい茶杓が多かったが、私は野良のような茶杓にした。

竹には筋があり、そこに小さな穴が開いていた。

筋を川や滝と見立て、穴を洞窟とみる。

陶淵明の「桃花源記」のように、川に流れ来る桃の花びらを辿ってさらに洞窟を抜けていくと、またそこにのどかな暮らしをしている別世界があったと。

銘は「桃源道中」となる。

茶杓作りを終え、茶杓先生ら男4人で一献。そこもつかの間、桃源郷であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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メタ・バースディ

2023年11月18日 | 文化・芸術

中野のザ・ポケットで娯楽天国である。

今年はコテンゴクも観ちゃったし、娯楽天国はほぼ強制的に観にかり出される。

ほぼ観劇もひとりなので、中野の黄昏時、観たい映画「ワンダフルディ」ではないが、なにげない日常がいとおしく感じられてくる。

さて、「メタ・バースディ」は小倉の作に感心。コロナを経て、演劇人の執念みたいなものも感じて、役者としても面白かった。20周年の時だったか、25周年の時だったが、一文書かせていただいた中に「小倉の素人っぽい演技が大好き」と書いた。乱暴な書き方だったが、演劇らしく噓とわかっていながらいい演技という意味だったが、それがもっと自然になっていたのだが、この座長はやはり、作・演出だろう。今回は、まったく虚を突かれた。

35周年の今年、一文を書いた中に短歌の小島ゆかりさんがいた。幅広いファンを持つようになったと思った。

さてさて、劇中、高畑がいなくなったのは気が付かなかった。まさに、虚を突かれた感じ。高畑も鷹巣も熱演で看板に変わりはなかったが、やはり今回、エリカが利いていたのかな。吉田の動きもいい。

浴衣で稽古つけられていた遊佐をしっているからだが、しっかり化けた。何をやらしても引き付ける。毎回だが、新木の歌の見せ場がもっとほしい。梨本は使われ方が決まってきたか、はまり役なのか。奥村ももう自然。山王さん、大根っぽいノリが良かったが、娯楽天国そんなにでてていいの? 沢田はゴリラやらせたら似合うだろうな。

追;映画は「パーフェクトディ」でした。残念。2024年1月8日記 

新人は、5人。役者としてうまいというより、キャスティングがうまいか。みんな役をしっかりこなす。みんな座長小倉に感謝だ。

というわけで、観劇終了後のアンケートを、ここに。たまたまここまで読んでくれた部外者の方、失礼。

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馬子にも衣装2

2023年10月09日 | 文化・芸術

道元が日本に帰ってきたとき、何も持ち帰らなかった、とか、目は横に鼻は縦についているのだ、とかと伝わる。

当たり前。この当たり前の在りようと実践はいかに。

もう一つは、芭蕉の『奥の細道』冒頭。杜甫の詩をふまえて、行きかう年もまた旅人なり。また、日々旅にして旅を栖とす。とすてき。

ここに、筆文字に新しい命を吹き込んでくれたのが、とある藍染。

現在は、修復などの重要な仕事しかしないなか、特別に染めてくれたものだが、いい仕上がりに感謝。

 

今週土曜日からはじまります。

10月14日土曜日から21日土曜日 毎日12時から。

銀座 +ノーション

小熊廣美 書の世界

龍+

これも龍以外のプラスアルファ。

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眺龍 摑龍 裂選び

2023年09月29日 | 文化・芸術

裂から選ぶ。

中廻しはこれ、ならば一文字はこれにしてしまおうか、とか、大事な作業だ。

額ももちろんいい。ただ、巻いて小さくなり、時に応じて飾れるという掛軸も、見直していい時代かな、と。

本紙だけ観て、うまい下手、とかで評価するのだとしたら、書の醍醐味は永遠にわからないのではないだろうか。

本紙だけを観る。表装の全体として、その風景を眺める。時には、その時の場を感じながら。

時によっては、味方も変わる。

 

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死刑島

2023年07月26日 | 文化・芸術

少し怖い題名だが、剣名舞原作・総合監督、小堀智仁脚色・演出「舞台 死刑島2023」が池袋シアターグリーンで7月26日から30日まで。

26、27は夜のみ。28から昼夜2公演。

ゲネプロを観させていただいた。結末はまったくわからなかった。

遠い昔、剣名舞がまだ無名か売り出し始めた頃か、彼の家だったかオセロを一局。わたしもそこそこ心得があるとして臨んだ。

四隅も私がほぼ取ったので、勝ちを確信した私。「これは俺の勝ちだ」と思ったら終盤の終盤,心をよまれて逆転負け。

恐れ入った。そんなことができるんだ、と。

まだその頃は、彼がギャンブラーだったことは知らなかった。結末はわからないのは、昔から得意な彼なのだ。

そのことを思い出した今日の劇だった。

「罪」「罰」で一部出演者も変わるが、今日は「罪」組だった。キリコ役の絲木建汰がだんだんよくなってみえた。

ノビタ役の櫻井太郎もいい脇となっていたかな。

 

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六代目菊五郎

2023年07月21日 | 文化・芸術

この尾上菊五郎の木彫は平櫛田中作。20年の歳月をかけて作り上げたとか。

この像を久々に国立劇場にみた。

「引窓」を芝翫さん主演ながら、陰の主役とでもいうべきその母親役の梅花さんを観にいったのだ。

地味な演目と思っていったが、なかなか素人の私でも楽しめた。

鑑賞教室大人の部の日だったので、一幕のみ。素人にはちょうどいい。

その国立劇場が取り壊しになり、歌舞伎や文楽の鑑賞教室は、ほかの会場でしばらくやることになるのは仕方ないが、国立劇場はどこが施工するのか未だ決まっていないとか。

田中の菊五郎像もしばらく見納めだと思って写真に収めた。

万博問題もそうだが、オリンピックの大きな不祥事の代償なのか、昭和のイケイケドンドンの日本から、平成・令和と日本のゆくえがここにも怪しくなってきた。

 

 

 

 

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七夕の室礼

2023年07月07日 | 文化・芸術

七夕の日。

唐糸草と牽牛花。

唐糸草のピンク、いとおしい。織女かな。

万葉集。

鵲(かささぎ)の橋は七夕ながら白が秋を霜が冬を、ととらえ方はそこそこ自由に考えたい歌か。

 

フォレストイン昭和館車屋さんを会場に、大広間の七夕室礼は本格的なものとなった。

私も依頼されたものなどを色紙におさめる。

 

短冊も書いていただいた。

健康ばかりでなく、「世界平和」が目立った。

書は願いであるはずだ。

 

パフォーマンスは地味に?

お話はあっちへいったりこっちへいったり。

 

昭和のレジェンドの書家の長女の方と一緒に写真を撮っていただいた。

謦咳に接することもなかったレジェンドが少し近くになった。

 

 

 

 

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気概

2023年06月15日 | 文化・芸術

写真はそれぞれの作品の一部である。作家には失礼かと思うが、気になった部分である。

多摩美と丸木美術館共催の八木幾朗さんの多摩美退官記念の展覧会は、6月11日、丸木美術館の方に伺ったのである。

最近は何を観ても聴いてもみんな関係者や付き合いのものが多いのはしかたないが、この八木さん、その人と作品は、観たかった。

私ももうずいぶん古い付き合いになったが、染織作家の紀波さんからよく八木さんのことは聴いていた。予備校からの付き合いだそうだが、お話してみて、自然で、意固地で、解放されてて、なるほど魅力的な作家であった。

さらに言えば、この展覧会は「戦争と人間」というタイトルがつけられていたか、ここの部分写真には写ってないが、直接的に戦争や紛争、基地問題などを想起させる部分があって、日本画に何ができるか、日本画家になにができるか、の気概と問いもあった。

書家や芸術家と置き換えてみるのもいい。

 

 

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