OGUMA    日々軌 小熊廣美の日々新

規格外の書家を自認している遊墨民は、書は「諸」であるという覚悟で日々生きている。

気楽に綴らせていただきます。

分化

2014年10月30日 | 文化・芸術
和紙 日本の手漉和紙技術 として、ユネスコの無形文化遺産に登録の見通しとなったという。

喜ばしいことだ。すでに単独登録されていた石州半紙(島根)と、本美濃紙(岐阜県)、細川紙(埼玉)の3つがグループ登録だという。

ただ、これでは、越前も四国もあれだけいい紙を漉いているのに入らず、個人で人間国宝になっている人はいいいけれど、新潟の小林さんや四国拝宮和紙の中村さんなど、人物からして今時いない無形文化財みたいな存在だと思うと、どうせグループ登録なら、伝統的な食文化として「和食」という括りで登録されたように、「和紙」という括りでの登録でもよかったのに、と思う。

私は本業を持ちながらも、約20年関わってきた和紙作りと、一年以上離れている。
外秩父山系あたりで、紙漉き小屋を作って、沢のせせらぎを聞きながら、紙を漉いたり、筆を執ったり、そんな暮らしが夢である。

書の方でも、騒がれていくつも美術館ができる時代である。和紙も含めて、私の方は「無形分化遺産」という看板を立てて、そこに住まう、か。



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降る雨を硯に集め

2014年10月27日 | 文化・芸術
先生は降る雨を硯に集め、墨をすって「あいたかったです」と書いてくださった。

とは、若狭の若州一滴文庫で、筑紫哲也さん、灰谷健次郎さんらとイベントを開いた時の石川さゆりさんの思い出。
今日の朝刊より、である。

先生とは、水上勉。
心筋梗塞で倒れたあとの話であるというから、水上勉という人は、いつも、ダンディに決まる。

私も二十代の頃、若州一滴文庫を訪ねたことがある。
水上さんと親交のあった私の俗の師匠の音頭取りでみんなででかけた。
その時、水上さんが会いたかったのは、水上作品を舞台で演じる女優の野村さんだったんだろう。
私も生意気に「芸術とは」などと訊いて、生意気坊主めと、返されたことは、ずっと前にここで書いたかな?

上昇志向ばかりに目を向かされる今、水上勉の境遇からの目線で書かれた作品を、しっかり読んでみようと思うこの秋である。
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松葉杖

2014年10月21日 | 日記
ゲシュタルト崩壊、という現象は、書をやっていると、ときたま、ある、ある、である。
先週、わたしはふくら脛崩壊。これもちまたに、ある、ある、である。
筋肉断絶、肉離れである。
スポーツ選手も起こすが、私の場合、
脳のイメージと身体の機能がすでに一致していない場合に起こるアレである。

運動会のリレーで、お父さんが転ぶのに似ている。

振り返れば、20代の頃、田舎の柔道場で高校生柔道部員と乱取りをして、
内股で一本を決めた瞬間、右足ふくら脛が攣った。
その時、はじめて意識した相棒かもしれない。

当たり前で気がつかないけれど、身体は全身を使って小さいことも達そうとしている。
大事にしよう、普段はなにげない相棒を。

というわけで、家で想念の日々といいたいが、おっかなびっくりゆっくり歩いて、仕事場にいく。

お年寄りが歩いて私を越してゆく。
そのことだけでも、いろんな方のおもいを垣間見る。

いつもより道端の景色にわくわくするのは、怪我の功名。

人の世の通り方は、松葉杖より転ばぬ先の杖。


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貧しいと思ったら

2014年10月14日 | 日記
ない時の方が、ものがよく見える。


と。

人生、何がいいかわからない。
それならいいが、
書も何がいいか分からない時代になってしまった。

この世界経済に仕組まれて、
青い地球を、こころからも穢していく者たちの一員に
なってはならない。



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十三夜

2014年10月06日 | 日記
台風一過、後の月。

月といえば、すかさず、灯り塾はペーパームーン主宰の冬野さんを思い出す。
和紙灯りの朋子さんなので、紙と月をそのままに、ペーパームーン、なのかな。
字源的には「朋」は、むしろ財宝とした一対の貝なのだというのは野暮である。
いずれにしろ、この方は、月というよりは太陽みたいな方であるが。

今日の、満月になる前の月を名月として定着させた日本の歴史に拍手である。
「十三夜」は筆で書くと、なおさら、定着する。縦書きだ。


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