OGUMA    日々軌 小熊廣美の日々新

規格外の書家を自認している遊墨民は、書は「諸」であるという覚悟で日々生きている。

気楽に綴らせていただきます。

世俗

2009年12月31日 | 日記
世俗の中にどっぷり生きている。
世俗のなかにも聖なるものがきらりある。
そんなものを感じ取れる感性を無くさないようにしなくてはいけない。
それっぽくみせる必要はなし。本質を求めよ。

高悟帰俗  芭蕉
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シャルロット・ぺリアン自伝

2009年12月30日 | 文化・芸術
みすず書房刊『シャルロット・ぺリアン自伝』が翻訳者の北代美和子さんより送られてきたのは6月頃だったか。
2段組400頁を超えるが、ル・コルビジュとともに仕事をし、二十世紀の日本の建築家や工芸家と深く交流した女性建築家の自伝は、写真も興味深いものばかり。
北代さんとは、あるイベントのオープニングパーティで知り合い、その時、彼女が翻訳した文芸春秋刊『届かなかった手紙』を頂いたのがご縁。その本は多くの国で翻訳されたように、面白かった。というより、ナチスドイツ時代の興味深い生のレポートのようで引き込まれていった。
そんな北代さんの文章力も気になって、じっくり読んでいると、仕事が入って中断。せめて夏休みに読破、と伊豆に持ち込んだが、家族が邪魔だ! そんなざわざわ生活で今になっても読破できず。
でも見ているだけで写真は楽しいし、途中の興味ある部分を読んでも面白い。自分も気になる岡倉天心もでてくる。民芸の連中も。私の生まれる前のフランスもいい。
さっき、北代さんに6か月後のお礼状、いや詫び状を書いた。三蹟の一人、藤原佐理も詫び状が多かったという。これも書家への道程だー(は開き直りすぎだろ)。
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仕事納め

2009年12月30日 | 書道・筆文字
2009年をふりかえって、という原稿依頼があって今日校正を戻した。好きに書かせていただいたが、そこでは触れず、面白かった展覧会に、仲田光成と森田子龍という異色の顔合わせとなった展覧会がある。
世界に書を発信し、みずからも一線の前衛書家として活躍した森田子龍と伝統のかな世界で独自の世界を築いた仲田光成。このコラボは平成の大合併で、同じ市出身となってのことで、お二人とも健在なら、絶対今回のことはなかったろう。
仲田の空間を意識したかなの当時を思った。森田の、懸命に書が書であるための証しを残そうとした情熱みたいなものまで伝わってきた。評論家の田宮先生、麻生先生と、多少のオフレコ発言などを交えつつ、書のあり方など前向きに雑談を交わせて楽しい一時だったことが思い出される。
そして今日は頼まれていた印も完成。
これで無事、年が越せるか。
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速水御舟

2009年12月29日 | 書道・筆文字
今日は月1教室、最後の講座日でした。
顔真卿の楷書を書いてもらいました。
「蚕頭燕尾」などと形容される丸い起筆部分と、燕の尾みたいに急に細くなる右に払う部分や独特なハネなど特徴はあるのですが、一番は、どっしりとした外に向かう威圧感みたいなものを感じてもらいたく、どしゃー、と勢いよく書けば、些細なことは吹き飛ばしてくれるようなそんな「ちっちゃいことは気にすんな」的なところを学んでほしかったです。
顔真卿は好き嫌いがはっきりしているようです。書壇のボスだった青山杉雨先生などは「泥臭い」といったかな、好みじゃなかったようですね。やはり天來系の先生方は、大事にしますね。
私は、まず「陰陽」ということを身体で感じたくて、この書と太極拳をやっていました。あと、圧するほどの空間を学ぶにもいい。井上有一の顔真卿の臨書などは、空間をつぶすような野心作だと感じたことがあったなー。
天才画家速水御舟も顔真卿の魅力を知った1人。40歳で亡くなるのですが、その最後は、顔真卿の臨書三昧でした。そこからどんな絵画作品が生まれるのか、観たかったなー。顔真卿を学ぶ動機付けは魯山人だろう、というのがお孫さんの吉田さんと話していて出た話。
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月桂樹で染める

2009年12月26日 | 和紙作り
今日は小川町和紙体験学習センターの本館内装工事で職人のような仕事をした。塗装の下準備のケレン作業だ。「むかしよくやってたナー」と感慨一入。
「筆をハケに持ち替えて」のキャッチコピーはペンキ屋時代。現場監督時代もある。面白かったなー、と思えるのは、とても人間らしい職人さんがたとめぐり合ったことかな。
若い和紙仲間のひとりは月桂樹の葉を煮て、銅ばいせんで紙を染めた。銅の量が多ければ、緑にもなるようだが、少なかったので、少し赤みを帯びた生成りをくすませた感じの色に染まった。
好きな色に染めるのは難しい。そりゃなんでもそうだ。でもそうならない時の発見もある。これ、大事だろ。
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続 スペインへの道

2009年12月25日 | 日記
スペイン語を勉強するに限らず、歌を覚えるのも語学にとってはいい。
ということで、スペイン語を学ぶ方々でカラオケ屋さんでのクリスマス&忘年会となった。
「Navidad」「Los peces en el rio」「Jipi jay」……。「Eltren del cielo」もいい。
そのうち「天城越え」や必殺仕置人のテーマとなっていった。
スペインへの道は遠い。
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ハングルで

2009年12月24日 | 書道・筆文字
ハンガリーからクリスマスカードが届いた。メールでだけど。
マジャール語は分からないから英語で書いてあった。
ハングルでは、あけましておめでとう にあたる言葉を今日覚えた。
「セヘボンマニパドセヨ」。直訳すると新しい福をたくさん受けてください、というらしい。
30年以上前、今井凌雪先生の『書を志す人へ』というなかで、書家を目指すものは中国語も学ぶ必要があるというようなことが書いてあった。その通りであるが、ハングルも、中国からの影響、日本への影響、とか、様々な点で学びたい言語である。
もう5年ほど前になるか、小さい障子屏風に、小さく一字だけ「ムル(水)」という言葉をハングルで書いた。その前でカヤグン(伽耶琴)を中心とした演奏会を原宿でしてもらったことがあった。
もう一度ハングルを作品にしようと考えている。
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大佛次郎賞

2009年12月22日 | 書道・筆文字
第36回大佛次郎賞に石川九楊氏の『近代書史』が選ばれた。
石川さんが京都新聞に文人などの書を評したものがまとまって、『書の風景』として出版されてから四半世紀経つかな。
書や書家、書の研究者などなどたくさんいるが、それと違ったステージで活躍できる凄さ、ここには執念さえ感じる。
一般の書家の方々からはどういう評価を得ているかよく分からないのだけれど、彼こそ書を愛して止まない一人であり、書家という存在が、どのジャンルに比べてもひけをとらない、いや、優れている、とエールを送り続けているように考えていると私は思っている。(あきらめているかな?)
書道全盛の昭和に、西川寧という見識ある巨匠がいた。伝統派の論客でもあった西川が、「芸能人のサインでもなんでも真っ向から評論する者はいないか」のようなことを書き残しているが、石川さんはそれも超えていった。
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どんざを着る

2009年12月21日 | 文化・芸術
どんざ。野良着と訳したら乱暴だろうか。襤褸(らんる)と書いて「ぼろ」。
ほつれたら、そこに布をあてがい、縫い付ける。大事に大事に一着を扱う。

「染織IWASAKI」の“どんざ”となると、野良着どころか高級品だろう。でも、偉そうじゃなくて、わざとらしくなくて、を目指す岩崎夫妻。
質のいい仕事は、質のいいお客さんに支えられているんだと思う。
ジャコブウールに、車輪梅で染めた真綿を久米島式の紡ぎ台という古い道具を使って、手で紡いでいるものが横糸に使われていてアクセントを出している。
これを着れる幸せ。
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菊姫鶴の里を買う

2009年12月20日 | 書道・筆文字
連日の国立通い。
今日はいわゆる「書初め」という条幅体験の日でした。
3人とも初体験。おっかなびっくり筆をすすめていたけど、最後には全紙(140×70㎝)に1文字と名前を書く。
そのビルのB1は日本酒からワインまでいいものが揃っていて飽きることはない。量り売りでのワイン、リキュール、オリーブオイルなどもある。先日買ったオリーブオイルも美味しかったな。
さて、今日のぞくとあまり都内では置いてない「菊姫」の“鶴の里”がまた入っていた。両手に荷物一杯だったが、1本購入。菊姫のにごり酒もすっきり美味しいのでこれも1本購入。
今はデザイン書のようなちょい稚拙なレベルのラベルもままあるのですが、昭和の時代までは、酒のラベルなどは堂々といいものが多かった。酒の上手さは分かりませんが、大手の「月桂冠」は明治の巨匠、日下部鳴鶴、「松竹梅」は昭和の巨匠、日比野五鳳など。自分好みの酒としては「眞澄」が明治の洋画家で書道の革新派として名を残した中村不折、「八海山」は印人、古川悟など。
あまり品のない字とか嫌味のあるラベルは買い控えしてしまうのです。


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