OGUMA    日々軌 小熊廣美の日々新

規格外の書家を自認している遊墨民は、書は「諸」であるという覚悟で日々生きている。

気楽に綴らせていただきます。

2センチ

2010年02月28日 | 書道・筆文字
見慣れていいものは……なに?
見慣れてしまうと、いいも悪いもわからなくなる。

いつも見える周りの景が、昨日と同じものにみえてしまうことを恐れ、朝起きるのが恐い。というようなことを言ったのは室生犀星だったか。

わが愛する小川町和紙体験学習センターの建物の一部は、今、改装中。
古い建物の良さを生かしながら、ケレンしてペンキを塗って、テーブル換えて……と暮れからやっているが、今、そのほとんどは、小川にアトリエを構える現代美術家の伊東さんの手に委ねられている。

「いやー、よくなったねー。見慣れているとわかんなくなっちゃうんだけど、とってもいい空間になった」と素直な感想をのべると「いやあー、あの(ランプの)コード、2センチ長いなー」と手直しを考えている伊東さん。
空間の見かたの鋭さは相も変わらずお見事。感心する。

建物も作品も、空間を見るんですね。

家に帰って、「開館中」「本日閉館」を、二三版和紙に書く。それが私の今日の仕事。
ちょっとデフォルメして今風になったと勘違いするのもいいけれども、これも書の使命なのだ。

みんなでいい空間にしよう、としている場に、ふさわしい字でありたい。




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絵巻物

2010年02月25日 | 文化・芸術
前にも記事にしましたが「E・MA・KI展」が日本橋三越本店6階 美術サロンで昨日オープン、3月2日まで。

今日は別会場で関係者のパーティがありました。
小杉放庵のお孫さん小杉小次郎氏もいいねー、気取ってなくて。舟越桂さんもジーパンのポケットに手を突っ込んでのあいさつもいやみなし。
「竹取物語」を描いた堀川えい子さんは今日のお召物まで竹取物語をモチーフにしたものだとか。彼女のあいさつのなかで「日本人は外国のものばかりありがたがり、自分たちの文化を大切にしてない気がする」みたいなことをおっしゃった。

その通り! 
明治維新以後、列強に学べ、とおかかえ外国人はほとんどの分野に配置され、太平洋戦争後はアメリカ文化を崇高なものと勘違いし、消費は美徳とそそのかされ、自分たちさえよければ、それでいいと思って、公害も気にせず高度成長を続けてきた。
この精神、今の普通のわれわれは、はたして普通なのか?
その基準さえ見つけることが困難になっている。

話が飛躍してきた。閑話休題。
「E・MA・KI展」、絵巻物になった彫師、刷り師の技の伝統木版画と原画を見比べると面白い。
それぞれの良さがわかる。
その紙は、岩野一兵衛氏越前奉書二枚漉き。

今日は、大人が耐えうる童画をみながら、あるべき姿に思いはせよう。
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背キシ者ハ切腹ノ事

2010年02月24日 | 和紙作り
あまり上手過ぎるのはよくない。当時の日常や状況が少し垣間見られればいい。
などと思いながら、新選組「局中法度」を、自分で漉いた楮紙に書く。

依頼には一枚の和紙がつけられていたが、「誠」が旗じるしの新選組の仕事には、ぶきっちょかもしれないけど小川産の地楮の私の紙でしょ。



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E・MA・KI展

2010年02月19日 | 文化・芸術
来る2月24日から3月2日、日本橋三越本店 本館6階 美術サロン
「E・MA・KI展」は、伝統手摺木版画による平成の絵巻物3巻を見せる。原画も展示するという。
洋画の小杉小次郎、日本画の堀川えい子、彫刻家の舟越桂という売れっ子が、それぞれ絵巻を描いたのだ。彫師、摺り師の手を経て、3年がかりで制作したという。
限定88部。
桐箱題字もすごい人が書いている!!!
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魯山人の書の印象

2010年02月17日 | 書道・筆文字
魯山人の書、といえば、なかなか。いや、かなり。いやいや、至高か。それじゃ『美味しんぼ』になっちゃうか。
その魯山人の「蘭亭序」がある。臨書ではない。草書。かなり、である。

魯山人は、書の魅力をよく知っていた。作品からそのことが分かるという点では、光太郎より、八一より、だ。

というより、光太郎は造形から観、八一は歴史から観、魯山人ははじめから書の魅力から観た。だから、光太郎のように心からの叫びは聞こえないし、八一のように太古を感じさせるわけではない。魯山人は書のツボを心得て書いている。
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方向性

2010年02月16日 | 書道・筆文字
今度発表する作品のうち一点は、ハングルも使い、言葉もどうとられるか微妙。
そんな折、旧知の大家と二人だけで先日一献傾けた。

発表する作品には「自分の方向性がでればいいんじゃないかな」と。

こんな時代になっても、気骨を持って未だ芸術としての崇高な書を求めている開拓者の言は重く感じた。
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おじさん!?

2010年02月15日 | 日記
パソコンを買い替えて、新たに覚えること多々。 携帯も替えたら? 携帯でもあらたに覚えること多々。ふざけんじゃねー。
そんでもって、なお、ゲームなんかやってられるか!!!!
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保育士さん

2010年02月14日 | 書道・筆文字
“書のこころえ”という漠然としたタイトルであったが、保育士さんと園児のお父さんお母さんのための書のワークショップに呼ばれた。
お習字的な発想でなくとも、線も形もさまざまな表情があり上手くなくても表現としては成り立つことなど書きながら感じてもらった。
問題はなにを書くか。その素材だ。最終的にはハガキサイズをマットにいれて完成、というバージョンだったが、ある先生は「声」と書く。

なぜ「声」なのか、と尋ねると、声のありようを意識しているのだという。園児に対しても、遠くから呼んで「聞こえないの?」と質すんじゃなくて、近くにいってそっと声を掛けてあげればいい……とか。
いい先生だなー。
そんな作品は「聲」じゃなく「声」でいいし、すこし歪んでもいいからあったかい作品にしてほしいと願ったが、なかなか骨格のしっかりした存在感ある「声」ができた。

ジャニーズの「嵐」のメンバーを意識して「嵐」一字で5人を書き分けようとする先生もいたり。なかには元毎日系の書壇に属していたお母さんもいて、ちょいと現代書家の悪い癖ともいえる線のいじりすぎを感じたけれどなかなか空間の把握も上手く線条豊かな作品も生まれた。

色紙大のダンボール紙に参加者が一字ずつ書いて、まとめて並べると詩の一節になる作品も最後に制作。今回は谷川俊太郎詩「もしも」。
谷川先生には許可を頂いていませんが、このくらいは許してくださいね。月曜から一日二日保育園の園児や送迎のお母さんお父さんに観てもらうだけですから。
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フランス大使館

2010年02月13日 | 文化・芸術
広尾駅から歩いて6,7分のフランス大使館。新庁舎に移転したいま、旧庁舎をアーチストに開放しての「No man's land」が会期を延長して開催されている。

“やりたいことをやっている感はあるね”と会場ですれちがった若いカップルはいっていたが、壊すことが前提なので、好きにいじれる。
さまざまな表現があるともいえるし、現代美術のエゴさも感じ、ああこんなかんじだな、と思うときもある。
こういうイベントは一人であまり思索しては行けない。楽しまなくちゃ。という感じがしたイベントである。

それにしてもこんなイベントを許したフランス大使館に拍手。
ほかでも解体前の建物をアーチストに開放してくれたらいい。そんな潮流になればいい。

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稽首

2010年02月12日 | 書道・筆文字
稽首とかいて、けいしゅ、と読む。羲之頓首頓首(ぎしとんしゅとんしゅ)などの王羲之の尺讀も伝えられているが、頓首と同じように、地にうちつけるほどのもっとも重い拝礼を稽首という。金文での稽の字は、今は別の字になる「旨」+「頁」をあてた。
この周公キという名称がつけられている青銅器にこの「稽首」がでてくる。
この「稽」を今日の甲骨・金文ワークショップで書いた人がいた。それがとってもチャーミング。この字の目の位置が上とくっついて表情あり。その魅力に感じた人に拍手。

そのワークショップは朝10時から夜8時半となってしまった。滋賀や浜松からの参加者もいて、そのサークルのパワー恐るべし。本物志向だし。
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