故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

ご飯のこと

2015-11-10 04:23:08 | 思い出話
  
小学生の頃、よく米を借りに行かされました。
木製の一升枡を持って行きました。
行く家は決まっていました。

数年かけて、米作から蜜柑栽培に切り替えました。
農協に近い土地では野菜を作っていましたが、最後には蜜柑畑にしました。

テレビで、ご飯の上手な炊き方を聞きました。
手で揉みながら米を研ぐ。米をこすり合わせることで、胚芽から糠を取り出すのです。
浸漬を十分する。一時間くらい。夏場は氷を入れるなど冷たい水がお勧めです。
ご飯の黄ばみを防止するのです。少し糖度が増すそうです。
炊き上がったら、軽く混ぜておくのです。早めに食べるのが美味しいのです。

水浸割粒は、5%以下(あるいは10%)とされています。
乾燥しすぎたり、急激に乾燥すると米粒が割れるのです。
籾の状態でも、玄米の状態でも同じ状況です。
米の乾燥規格は14.5-15.5%です。南が14.5%北が15.5%です。
過乾燥が、胴割れの原因です。
水浸割粒とは、米粒としては割れていないのですが、亀裂が薄く入った米で、
水に漬けると割れる米のことを言います。
炊飯の過程で米が割れてしまうと、でんぷんが糊状になり焦げてしまいます。
つまりご飯の歩留まりが落ちるのです。炊飯工場では致命的なことになります。

玄米流通の平均水分が15%には理由があります。
20℃、70%の湿度の室内に長い時間放置していると、
水分過多の米から水分は飛んでいき、過乾燥の米は吸湿して、
共に15%になるのです。平衡含水率と言います。
日本の気候の平均が、20℃70%なのです。
水分の抜け道は、胚芽からです。狭いのです。
だから長い浸漬時間が必要なのです。
乾燥には時間がかかるのです。

私は、ニューマ搬送(空気で搬送)のプラント第一号を作りました。
水浸割粒で苦労しました。 
搬送する空気の温度が問題でした。
搬送する空気はブロアーで圧縮された空気を使います。圧縮すると空気温度は上がります。
冷やすために、空冷式のクーラーを入れています。このクーラーの効率は100%に近いのです。
空冷する空気温度が重要です。搬送空気は、精米された穀温の±5-10℃が理想です。
空気で搬送する時間は、わずか2-3秒です。これはさほど問題ではありません。
タンクの中の温度管理が問題です。精米の時の力のかけ方が問題です。
硬質米(北でとれる)は研削を強くします。軟質米(比較的南でとれる)は研削を弱くします。
摩擦が強いと米の温度はあがるのです。普通は気温の10℃アップくらいです。
タンクの中の温度が上がると、相対湿度があがります。
冬は特に、タンクの中は過乾燥になります。これが割れの原因となるのです。表面ほど割れてしまいます。
精米の時に強いストレスが強いのも割れの原因となります。穀温上昇の原因となるのです。
一台で仕上げ精米するとストレスは強くなり、穀温が上がりやすくなります。普通は3台です。
研削が一台、摩擦が二台です。長粒種になると割れやすいので、五-七台くらいの精米機を使います。
研削で落とすのと摩擦で落とすのと糠量は同じでも、研削式は米の高い(厚い)ところを削ってしまいます。
摩擦式は、米の凸凹どうしがこすれるので、米の表面の糠を均一に落とすのです。
穀物にはアリューロン層という硬い組織があります。でんぷん層を取り巻いている感じです。
研削をかけすぎると、アリューロン層を破壊します。すなわち割れやすくなるのです。
研削は高い(厚い)ところを落とすからです。

ご飯の美味しい食べ方と米の乾燥のメカニズムについて書いてみました。
もうそろそろ出かけなければなりません。詳しくはまたの機会とします。

2015年11月10日




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