(アーモンドの花)
(アーモンドと神殿の谷)
午後はアグリジェントへバスで130キロも南下し、
世界遺産の神殿の谷を観光する。
東京では最高気温10℃、その寒さから脱出してきた今回の旅行であるが、
シチリアは気温16℃と暖かい。
シチリアの地形は日本に似てリアス式海岸で、
坂あり山あり海ありの変化に飛んだ地形である。
車窓からは、その起伏のあるのどかな丘陵地帯が連なって見えるが、
所々に桜と見間違う白い花を満開にした木を見かける。
ガイドさんに聞くと「アーモンドの花」だそうだ。
胡桃に似た味のアーモンドを食べたことがあるが、
食べているのは種で、その花や実を見たことがなかった。
桜の花はうっすらと赤みを帯びた白であるが、
アーモンドの花は桜と違ってただただ白い。
日本で桜を見るには、まだまだ二ヶ月の先の話。
日本人の桜好きは、説明する必要がない。
アーモンドの木が群生している景色に出会うと、
一斉に「ワー!きれい!」と歓声が上がるからである。
(アーモンドの花2)
アグリジェントは、今朝の観光地パレルモより130キロ南に位置するせいか、
気温がさらに暖かく、アーモンドの花が沢山咲いている。
東京では見られなくても、熱海では満開の桜を見られるのに似ている。
神殿の谷と聞いていたのに、
丘陵の頂きにギリシャのパルテノン神殿を思わせる遺跡が見えてきた。
修復中のようで、足組みと養生シートで一部を覆われていたが、
ほとんど全貌を見ることが出来る。
コンコルディア神殿だ。
その神殿の先に、屋根はなく、列柱だけ見える神殿の遺跡も見える。
いずれも満開のアーモンドの木に囲まれている。
両方ともパルテノン神殿と同じ時期の2500年前に建造されたという。
これら神殿の脇に立つと古代へタイムスリップしたような不思議な気持ちに包まれる。
(コンコルディア神殿)
(エルコーレ神殿)
――古代ローマ――
ボクの貧しい知識の中での古代ローマは、シェークスピアの「ジュリアス・シーザー」しかない。
(ジュリアス・シーザーは英語読み、ラテン語ではユリウス・カエサル)
それも、
「ブルータス!お前もか!」
の有名なセリフが思い浮かぶだけ。一説では
「我が子よ!お前もか!」と言われているそうだが、
ガイドさんの説明では、その両方とも言っていないとされる。
後世の人たちの創作のようだ。
あるいはシェークスピアの創作なのかも知れない。
そもそもシェークスピアは、生涯イギリスから出たことがないから、
素晴らしい想像力で物語を構成したに違いない。
その元ネタは、各地を歩く商人からの又聞きだという。
自分は外国には行っていないのに、外国で起きた物語を創っている。
「ベニスの商人」「ハムレット」「ロミオとジュリエット」などなど・・・
「ハムレット」はスペイン、
「ヴェニスの商人ととロミオとジュリエット」はイタリアにその舞台があって、
観光地になっている。
余談であるが、
ハムレットはスペインのセゴビアの城に起きた物語で、
実在の人物はAmleth(アムレス)王子と言われる。
シェークスピアはAmlethの名前の最後のHを取り除き、
頭に持ってきて、Hamlet「ハムレット」としたと言う。
(まことしやかで、「うん!なっとく!」 これはボクだけだろうか?)
なお、物語の上では、ハムレットはデンマークの王子と言うことになっている。
シーザーに戻るが、エジプトのクレオパトラとその弟との間に後継者争いが起きた時、
シーザーはクレオパトラ側に着いて政争に介入したとされる。
有名な言葉に、
「クレオパトラの鼻が、もう少し低かったら事態は変わっていた」
と言われるが、
クレオパトラの美貌に惑わされたわけではないようである。
飛びぬけた実力を発揮すると、後世に、
民衆が面白おかしく話を創作するのは、
日本でも中国でも西洋でも同じらしい。
話が飛んでしまったが、イタリアには古代の歴史が詰まった場所が沢山ある。
今回訪問の南イタリアに歴史に残る世界遺産は数多くあるが、ローマから
北の地方に残る世界遺産には数ではとても及ばない。
(カミさんが撮った肉料理)