矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

日本医学教育学会 メモ

2016-07-30 23:05:58 | 医学教育
Lessons learned from 日本医学教育学会 2016.

自分のメモとして、

1 招聘講演1では、WFME 世界医学教育連盟が世界の医学部の質の担保についてご講演。

”Mushroom" きのこのように、世界中で医学部が増えているが、”おいしい”きのこもあれば、"毒きのこ”もあり、とのメタファーはお見事でした。バシッとメッセージが頭に定着しました。

2. 招聘講演2 では、スタンフォード大学の先生がインターアクティブにご講演。

いつも国内学会で残念に思いますのは、多くの招聘講演の演者の方は、自国・国際学会のプレナリーを担当されるクラスの演者ですが、
その場合、数千人の会場が通常は「満杯」です。日本の学会では、英語以外のプログラムを同時進行させることが多いので、世界クラスの演者のせっかくのご講演が、会場に参加者が”まばら”となり、大変、心くるしく感じます。はるばるやってきて、まばらな参加者では覇気が弱まって、
やりにくいのではないかといつも推察しています。自分が逆の立ち場ならそのように感じます。

このような状況で、今日の演者の先生は、インターアクティブにユーモア交えて(ジョークが通じていない?とご心配されながら)、1時間されました。退屈させないとても楽しいセッションでした。さすがでした。

私がもっとも印象に残ったのは、医学教育で、教官がもっとも重視する点の内容の説明のとき。私も普段、一番、関心を払うことができない部分でしたが、”患者が自分の病気について理解すること” でした。医師が疾患について理解を深めても、患者が自分の病気について理解が深まらなければ全体としてアウトカムはよくならない。自分の大きな盲点でした。

帰国後、医師の一般臨床スキル・診断力を上げるにはどうしたらよいか、との問題意識でさまざまに活動してきました。医師へのコンサルタントとしての役割が大半でした。今後、少しずつでも、「患者が病気を理解する」ことも並行してやっていく必要があることを学びました。

Faculty developmentの秘訣に関する質問に対して、"respect"がカギというご回答をされました。
”respect"されると、行動変容が起こる、とのことでした。確かにそうですね。
Facultyがこれまでやってきたこと、自分が大切に思うこと、教育に関する考えなどを尊重し敬意を払いながら、そこに教育理論などの情報を提供するともっと知りたい、と思い、勉強し、行動変容が起こるのだそうです。

感染症の教育も同じような印象を持ちます。応用したいと思います。自分もそのように扱われたいですものね。


3. 最終日の圧巻
毎年恒例の日野原重明先生のご講演。今年は、「再びオスラー先生に学ぶ」という内容でした。


患者の気持ちに寄り添って、とはよく言われますが、実臨床で実行することはとても難しいです。短時間のラウンドでお気持ちまで理解するのは至難の技のように感じます。

自分の家族から「君は患者の気持ちがわかってないね」と言われたことがありますが、胸に突き刺さりました。
医師としての修行はずっと続きます。



医学教育学会 無事終了

2016-07-30 22:58:02 | 医学教育
今回、初めて、大阪医科大学に参りました。医学教育学会の会場でした。

学会の前に体調をくずし、かなりつらく頭痛と関節痛・筋肉痛、咳などもありましたがなんとか現地入りしました。
移動のときの夕焼けがきれいでした〜。


水戸の親戚?のような駅に降り立ちました。



ポスター発表。


学会に行くからには、何か発表するとやりがいがあります。がんばって毎回、何かを出すようにしています。日本医学教育学会のInternational sessionに出し始めたのは2012年だったのですが、2012, 2013, 2014, 2016と4回出しましたが、今回、全体のレベルがもっとも高かった印象です。だんだんリサーチの質が上がってきており、刺激をいただきました。

8月末はBarcelonaでAMEE 欧州医学教育学会です。こちらも気を引き締めてよいポスターをつくりたいと思います。