矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

感染症科 修了式

2016-07-28 20:09:52 | 感染症関連
当院で合計4週間の実習を終了した学生さんの修了式です。




自治医科大学6年生の学生さんが2週間、当科でチームの一員としてhistory and physicalを中心に診察しカルテ記載しました。

大変優秀で、基本知識が正確かつ精密に身についていらっしゃるので、質問すると「瞬く間にたくさんの答え」が返ってきます。

Excellent job!! という感じでした。

当科もこの2週間は、指導医1名、フェロー2名、レジデント2名の「史上最多」の人数でチームでコンサルトしています。

人数が多いと非常に楽しいですね。

私は相変わらず、?怒って?いることが多いので、怒るたびに、後から自己反省はしております(合掌、お許しください)。

もっと高いところを目指したい、日本の実力はこんなものではない!といつも心に留めながら、自分の理想的な良質の診療を目指しています。

質の指標のひとつが「体系的な鑑別診断」が考慮されているかどうか、そしてそれがカルテ記載されているかどうか。

思考プロセスを共有する”診療文化”を推進し、根付かせていきたいです。それにはそうした診療の”経験”と”実践”と”教育”が不可欠です。

共感し同じ方向を向いている若手の方には、私がオファー出来るものを、全身全霊でオファーして差し上げたいと思っています。

論文執筆: author, reviewer, editor の心得

2016-07-28 19:28:16 | Science全般
国内で、卒後臨床研修制度が導入された12年前から比べると、ずいぶん、臨床現場が進化してきました。

まだまだ課題は多いですが、改善され、進化した部分を体感します。

そのうちのひとつが、”臨床研究” "臨床論文”です。

臨床論文は、中国の躍進が目覚ましく、発表した主要ジャーナルへの掲載数の世界ランキングで日本のはるかに上回っています。
日本は25位ぐらい?だっと記憶しております。

それでも臨床志向の優秀な若手研修医の方々が、果敢に臨床論文に挑んでいます。

一方で、10年ぐらい前から我々の年代がreviewer, editorとしての役割を担う時代になりました。

帰国してから、毎年15件あまりのreviewer (感染症、医学教育学を中心に)をさせていただいています。
国内の課題のひとつとして、臨床研究をreviewできる人材が少ないことが浮かび上がります。
私の場合では、同じジャーナルから何度もご依頼があったり、同じauthorがreviewer欄に私の名前を書いているのが推測されます。

公平性を期すためには、同じreviewerが同じジャーナルのreviewを何度も行うのは望ましいとは思えません。
年に1回ぐらいでないでしょうか。

年間に15件程度のreviewをする立場から、自分へのLessonでもありますので、気がついたことを書き留めます。

1. Authorへ

特に英語をnativeとしないauthorは、英語のチェックをnative speakerにしてもらってから提出するのが「お作法」と思います。
事務レベル、reviewerは、英語のチェックはしません。

Submission前に、形式がその論文の規定にあっているかも、自分で最大限、確認すること

世界の”一流”雑誌では、体裁が整っていない論文は、通常、事務レベルで返却されます。

日本の雑誌では、体裁をもreviewerにチェックすることを求める?ようで、改善していただきたい点です。

論文として体裁が整わず、英語も不備があり、そもそも評価対象になっていないものを忙しいreviewerに回すeditorは、国外の基準なら、通常その力量と手腕を問われ、解任?になることもあるでしょう。

2. Reviewerへ
こちらは私も担当することが多いのですが、感染症でいえば、Clinical Infectious Diseasesなどの良質ジャーナルでは、最初から非常にimpressiveでした。Editorがすばらしい。無駄な再reviewは回さず、editorレベルでできるものはしてくれていました。ありがたい。

ReviewもStructural review (構造が決まっていて、その構成に基づいて評価する場合)とOpen な形でrecommendationを記載する場合があります。どちらも一長一短ですが、私は通常、structural review形式でコメントを書きます。

いずれにしても、reviewer間での差が大きい場合もあり、"reviewer training"などがfaculty developmentの一環であるのが望ましいと感じます。

数年前から、ほかのreviewerのコメントもauthorへのdispositionの連絡時にシェアしてもらえるので、当該論文がほかのreviewerにどのように評価されたのかわかり、非常に勉強になります。同じようなコメントが書いてあるとホッとしますし、別の視点からのコメントも視野を広げることができます。


3. Editorへ。
特に国内のeditorにお願いですが、形式が整っていない or 英語が整っていない論文は、事務レベルでチェックするか、自身で一読して、reviewerに回す前に、返却していただきたいです。

Reviewerが”英語の言い回し”のsuggestionをするのは、そもそも役割が異なりますし、時間の無駄使いになります。

自分への課題は、自身がauthorとなってもっと多くの論文を執筆すること。書くべきことは山ほどありますが、進んでいません。
同時に新しいプロジェクトも立ち上げつつ、進めています。

国際共同臨床研究、現職場でのクリニカル・プロブレムをリサーチにするもの、

医学教育学でのプロジェクト、医学教育も現職での発表など、時間配分と期限を決めてやります。