中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

安全衛生体制(第4編)

2014年01月21日 | 情報
衛生委員会の開催について、事務局部門が最も悩む問題は、議題がない、続かない、ということのようです。
生産や輸送等の現業部門のある事業所では、安全衛生委員会の議題に事欠かないと推測しますが、
事務部門のみの事業所で、いろいろと詳細を伺うと、必ずしもそうではないようです。
以下に、その議題の多さを披露します。

まず、最初に「時間外労働」の管理です。
衛生委員会には、人事労務部門に前月の時間外労働状況を報告してもらいます。
100時間以上、80時間以上、連続100時間以上、連続80時間以上等、実情に合せて確認してください。
特定の従業員、特定の部課に集中してくるのではないでしょうか。
人事労務部門は、当然の業務として、その原因追及や対策の構築に、該当の管理職から報告を受けているはずです。
衛生委員会としても、独自の管理と対策の勧告を行うことが必要でしょう。
衛生委員会には、労働組合の代表も参画しているわけですから、この問題を避けて通ることはできないでしょう。
従って、毎月の定例議題になるはずです。

次に、有給休暇の取得状況の確認です。有給休暇制度あるだけで、有名無実化している事業所もあるのではないでしょうか。
この問題についても、人事労務部門に部門別、個人別に状況を報告してもらいます。
当然に、取得率の低い従業員は、ある特定部門に偏るのではないでしょうか。
ただ有給休暇を取得しなさいといっても、効果は期待できませんから、
ゴールデンウィーク、夏季休暇、正月休暇に加えて、長期休暇を取得させる、年間計画で従業員に連続休暇の
取得計画を報告・実行させる、有給休暇のない管理職から積極的に連続休暇を取得させる等々、対策を検討する必要があります。

加えて、時間外労働が少ない、有給休暇の取得率が高い、しかし、結果を着実にたたき出す従業員が、
評価される、といった企業風土を醸成していくことが必要でしょう。

さらに、定期健康診断です。事業所には必ず定期健康診断を受診しない従業員がいることでしょう。
定期健康診断の受診率は100%でなければなりません。この問題を放置しておくと、
未受診の従業員が重い疾病を患った場合、会社責任を問われる可能性もあるからです。
なぜ、受診しないのか理由をただし、当該従業員の上司も巻き込んで、100%受診を達成してください。
定期健康診断を受診しない従業員には、配置転換や降格もありうること伝え、意識改革を図ることも必要でしょう。
さらに、再検査や二次健康診断等についても、現状確認と対策の立案も重要です。

安衛法第18条第1項、安衛則第22条

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、
事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

1.労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
2.労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
3.労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
4.前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
①衛生に関する規程の作成に関すること。
②危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
③安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る。)の作成、実施、評価及び改善に関すること。
④衛生教育の実施計画の作成に関すること。
⑤有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
⑥作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
⑦定期に行われる健康診断、臨時の健康診断、自ら受けた健康診断及び法に基づく
他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
⑧労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
⑨長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
⑩労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
⑪厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から
文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。
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