中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

安全衛生体制

2014年01月16日 | 情報
前日の続きです。
企業の活力は、社長のパワーも重要ですが、何といっても従業員のやる気、モラールが基礎になっています。
一段と競争が激しくなっている、わが国の産業構造です。
よく使うたとえですが、戦争に置き換えて考えてください。
兵隊の士気の高い、低いが結局は雌雄を決する要因になるのです。
従業員の心身にわたる健康を維持管理する体制が必要です。
経営者や経営層に求められる、最も重要な資質、または思考です。

以下は、新聞記事の再掲ですが、産業医の選任義務があるのに、選任していない事業所が、
対象事業所の12%にも上っています。
さらに、名前だけの産業医もいるでしょうし、圧倒的に多い50人未満の事業所もあります。

産業医、11%の事業所が置かず
大阪労働局は書類送検にあたって、健康被害を防ぐうえで産業医の果たす役割の大きさを強調する。
労働安全衛生法の規則では、産業医は「少なくとも月1回作業場を巡視し、
衛生状態などに有害のおそれがあるときは直ちに必要な措置を講じなければならない」と規定。
事業主への勧告権限も与えられている。
しかし、労働局が今回の問題を受けて大阪府内で昨年末に調査したところ、
産業医未選任の事業所は約1200(未選任率11・6%)に上った。
同局幹部は「形式的な違反と軽く捉える傾向があるが、労働者の生命、健康を守るうえでとても大きな問題」とし、
これらの事業所に衛生管理体制の自主点検票を配布。現在、回収作業を進めている。
垰田たおだ和史・滋賀医科大准教授(労働衛生学)は「特に今回のような化学物質が蔓延まんえんした環境では、
従業員には日常的で気にならない異常に産業医が気付く可能性がある。
名目だけの選任にとどまる事業所も多いが、産業医の重要性を再認識する必要がある」と指摘する。
(2013年9月27日 読売新聞)

労働安全衛生法
(衛生管理者)
第十二条  事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、
都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、
厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、
その者に第十条第一項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。
(産業医等)
第十三条  事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、
医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

(安全委員会)
第十七条  事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、
事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。
一  労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二  労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
三  前二号に掲げるもののほか、労働者の危険の防止に関する重要事項
(衛生委員会)
第十八条  事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、
事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
一  労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二  労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
三  労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
四  前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項
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