中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

衛生委員会、衛生管理者、産業医

2014年01月15日 | 情報
「安全スタッフ」誌’13.11.1号より転載です。

衛生管理者の選任を怠る

大阪労働局は、常時50人以上の労働者を使用していたにもかかわらず、平成13年以降、衛生管理者、産業医を選任せず、
さらに衛生委員会を設けていなかったとして、印刷会社と同社社長を安衛法違反の疑いで大阪地検に書類送検した。
同社では労働者17人に1,2-ジクロロプロパンを含む洗浄剤が原因とみられる胆管がんが発症し、
うち9人が死亡している。(平成25・9・26)

事件の概要
安衛法では、常時50人以上の労働者を使用する事業場に、産業医と衛生管理者の選任、衛生委員会の設置を義務付けている。
被疑会社では、平成13年8月からこれらの義務が発生していたが、平成24年4月15日までの間、専任と設置することを怠っていたもの。
同社では平成24年3月以降、労働者からの胆管がん発症が相次いで発覚。
厚労省や大阪労働局が原因究明のための捜査に着手した結果、校正印刷と呼ばれる作業で、
印刷機のローラーに着いたインクを落とすために使われていた洗浄剤に含まれる1,2-ジクロロプロパンと
胆管がん発症との関連性が極めて高いという見解が出された。
大阪労働局では、未選任だった期間のうち、時効内であった平成23年から24年4月15日までの期間について、
安衛法違反の疑いで書類送検。1,2-ジクロロプロパンは危険有害性情報を文書で交付すべき物質に指定されており、
「衛生管理者や産業医を置いたうえで、マスクの着用などの措置が講じられていれば被害を食い止められたかもしれない」としている。

被疑者および法条文
被疑者
◎株式会社サンヨー・シーワィピーおよび同社代表取締役社長
違反条文
◎安衛法第12条1項
◎安衛法第13条1項
◎安衛法第18条1項
※罰条関係は略
《参考》
◎安衛法第12条項
事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、
都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、
厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、
その者に第10条1項各号の業務のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。

筆者追記
安衛法第12条1項、安衛法第13条1項、安衛法第18条1項違反は、それぞれ50万円以下の罰金に処せられます(法120条)。
確定したわけではありませんが、産業医と衛生管理者の選任、衛生委員会の設置を行わなかったことにより、
罰金に処せられる例は過去、寡聞にして耳にしたことがありません。

現状では、安衛法は、他の法令に比べて軽視しがち、軽視されがちです。
労働安全衛生分野のなかで、安全面での事例ですが、衛生面においても全く同様です。
今回の事案を他山の石として、御社事業所内の態勢を再確認してください。






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