中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

俄か知識は危険です

2014年01月10日 | 情報
事例性と疾病性については、何回も言及していますからご理解いただいていますよね。

再確認しましょう。
事例性とは、仕事をする上で問題・障害となる「いつもと違う様子・行動」のことをいいます。
急に遅刻・早退が増える、無断欠勤がある、挨拶ができない、仕事のミスが多くなる、
納期までに業務が完了でいない、業務の進捗が悪い等々、企業活動に多くの支障を来す現象を差します。
その他に、当人自身としては、睡眠がとれない、食欲の減退、細かいことに拘る、飲酒量が増える等の症状が現れます。

一方、疾病性とは、うつ病等の何らかの疾患の症状や程度をいいます。
医療の専門家ではありませんので、専門書を参照しながら疾患について記述しますと、
うつ病、双極性障害等の感情障害、統合失調症、適応障害、境界性パーソナリティ障害等のパーソナリティ障害、
アスペルガー障害等の広汎性発達障害、等々具体的な病状を指します。
さらに、症状としては、頭痛、めまい、腹痛、高血圧、不眠症などをいいます。

企業・事業所においては、最近ではメンタルヘルス対策の社内教育がある程度浸透していますので、
「あの従業員は、うつ病ではないか」等、
同僚従業員が「俄か診断」してしまう傾向がありますが、病状の診断は、専門医が行うことなのです。
企業・事業所においては、仕事をする上で問題・障害となる「いつもと違う様子・行動」をする同僚従業員がいれば、
企業・事業所内の健康管理スタッフや産業医につなぐことが求められます。
これを、疾病性で判断するのではなく、事例性で判断する、ということになります。

なぜ、今回この話題を取り上げたかというと、パーソナリティ障害、或いは適応障害等をり患していると思われる
従業員のトラブルが増えているからです。これをうつ病等の感情障害ではないかと、
同僚従業員が「俄か診断」してしまう事例に、最近、複数回遭遇しています。
同僚従業員が「俄か診断」してしまうと、重要な初期対応でつまずいてしまうのです。
さらに、人事労務対応でも間違った判断に基づいた対応になりますので、トラブルを拡大・複雑化してしまうことになります。

因みに、拙著のタイトルは、「メンタルヘルス対策」ではなく、「うつ病」対策にしています。
一方で、精神科医、産業医、弁護士等々の専門家が解説する「メンタルヘルス対策」は、殆どが「うつ病対策」です。
「うつ病対策」しか語っていないのに、「メンタルヘルス対策」としては、
正確性、信頼性に欠けますし、誤解も生じることになります。
ですから、筆者は正確性を期すために、あえて「うつ病対策」とし、「うつ病」に焦点を絞ってその対策を提案しているのです。
ただし、うつ病用の対策が他のほとんどの精神疾患に応用できますので、安心していただけたらと考えます。

結論です。素人の俄か診断は、危険ですし、余計なトラブルの原因にもなります。
仕事をする上で問題・障害となる「いつもと違う様子・行動」をする同僚従業員がいれば、
企業・事業所内の健康管理スタッフや産業医につなぐことが求められます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする