中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

16,17日は休載です

2013年05月15日 | 情報
本日より、出張しますので、16,17日は休載です。
再開は、月曜日よりとなります。
よろしくお願いします。
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MH対策は労組と共に

2013年05月15日 | 情報
人事労務担当のみなさんに再提言します。
御社のMH対策に御社の企業内組合に協力を依頼すべきでしょう。
企業内組合のちからを、無視していませんか?
また、組合幹部のみなさん、御社のMH対策に積極的に関与してください。
組合員の心身にわたる健康管理は、組合の重要な任務ではないですか。
今日では、人事労務部門と組合が協力して、MH問題に取り組む時代です。
以下の新聞記事を読んで、組合の能力を再認識しています。小生の提言を真剣に検討してください。

就職の悩み 労組にどうぞ やりがい本音で答えます(4月30日 日経新聞夕刊)

労働組合が大学生との交流の場を広げている。
若手組合員が企業説明会とはひと味違う本音を語り、学生の仕事への不安の解消をサポート。
学生にとっては企業の担当者には聞きにくいことも質問できると好評という。
労組は組織率の低迷が続く危機感があり、将来の働き手に労組を身辺に感じてもらいたいとの思惑があるようだ。

「仕事は楽しいですか」「女性は結婚、出産しても復職できますか」。
今月27日、東京・代々木公園で開かれた連合主催のメーデー中央大会で就活応援Cafeと銘打ったテントが設けられた。
学生2、3人と先輩社会人3、4人ごとにグループに分かれ、1時間半ほど語り合った。
電機メーカーに勤める神奈川県逗子市の山内敦雄さん(29)は、学生から仕事のやりがいを聞かれ「ほとんどはつらいものだよ」と苦笑い。
それでも「営業でお客さんに頼りにされたときにやりがいを感じる」と話すと、学生は真剣な表情で聞き入っていた。
私立大3年の仁科千明さん(20)は「いろいろな企業の先輩に助言してもらえた」とにっこり。
「今日の話も参考にして志望業界を決めたい」と話した。
連合がメーデーで大学生との交流の場を設けるのは昨年に引き続き2度目。
「採用に直接関わらない労組なら遠慮なく聞ける」(担当者)。
厚生労働省の調査で、労組の推定組織率は17.9 %と過去最低の水準に低迷しており
「まずは労組の存在を知ってもらいたい」との思いもある。
NTT労組、KDDI労組など約250組合が加盟する情報労連(東京)は2006年から、大学生と交流する「明日知恵塾」を年4回、
土曜日の午後に開催。学生20~30人と社会人十数人が参加する。
明日知恵塾の運営にも関わる藤村博之法政大教授は10年6月にNPO法人「人財育成ネットワーク推進機構」(東京)を設立。
参加する労組は食品、医薬、繊維、電機など様々だ。月1回、土曜日の午後に学生約20人、社会人約10人が集まる。
藤村教授は「企業説明会や会社案内に出てくるのは華々しく活躍する先輩ばかり。
学生の多くが入社後に現実とのギャップに悩み、2~3年で辞めてしまう」と指摘。
「職場の実態を把握している労組なら仕事の大変さや喜びを本音で語れる」と話す。

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死別悲しみ・2週間で「うつ」

2013年05月14日 | 情報
米精神医学会が定めた精神医学の世界的な診断基準「DSM―Ⅳ」が19年ぶりに改訂され、
第5版の「DSM-5」として来年5月に発行されることになっていますが、
5月11日の読売朝刊に関連する記事がありましたので、以下に転載します。

米精神医学会が近く公表する精神疾患の新たな診断基準「DSM-5」で、子どもや配偶者などを亡くした後の気分の落ち込みを、
安易にうつ病と診断する恐れのある改定がなされることがわかった。
米精神医学会の診断基準は、日本を含む世界各国で用いられている。病気ごとに代表的な症状が列記され、
当てはまる症状の数などで診断する。
うつ病は、「抑うつ気分」「興味または喜びの喪失」の一方または両方と、ほぼ毎日の「不眠や睡眠過多」など、
計5つ以上の症状が2週間続き、生活に支障がる場合に診断される。ただし、死別の場合は、症状が2か月以上
続く場合に診断できる、と規定されていた。
新基準ではこの規定が削除され、脚注で正確な診断のポイントなどが記載される。背景には、うつ病を早期に治療することを
重視する流れがある。だが、子どもや配偶者を不慮の事故などで失った時も、2週間で立ち直らなければ病気とされる可能性があり、
日本の精神科医からも疑問が上がっている。
うつ病は近年、過剰な診断や不適切な投薬が問題視されており、日本うつ病学会は昨年、過剰な診断と治療を戒める
医師向けの治療指針を策定した。
神庭重信・同学会理事長(九州大学教授)は「死別を経験すると、病気でなくても、うつ病と同じ症状が
2週間以上続くことは珍しくない。今年予定している、うつ病治療指針の改定のなかで詳しく説明し、
医師に冷静な対応を求めたい」と話している。

なお、わが国の精神疾患の診断基準は、ふたつあります。
ひとつは、精神科専門医の世界においては、米精神医学会が定めた診断基準「DSM―Ⅳ」を採用しており、
厚生労働省をはじめとする行政においては、WHOが規程する「ICD10」を基準にしています。
高名な精神科専門医に確認すると、両者にはほとんど差がないとのことでした。使い勝手の問題だそうです。

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コミュニケーションが大切、いや必須です

2013年05月13日 | 情報
例えばの話です。
大都市のIT関係企業に勤める、プログラマーのAさん。20歳代後半で独身、独り暮らしです。
まあ、典型的な今日的若者です。彼のある1日を追います。

朝7:30、目覚まし時計に起こされます。着替えをして最寄駅に向かいます。途中のコンビニでパンとカフェオレを買い、
イートインコーナーで朝食です。パンをかじりながら、スマホでメールとニュースのチェックです。
9:00出社、パソコンを立ち上げ、出社の確認、ついでに、上司にメールで朝のあいさつです。

午前中は、仕事関係のメールチェックと返信、進行中のプログラムの仕上げ作業です。
当然にフレックスですから、昼休みは、会社の1階にあるコンビニで、弁当とお茶を買い、ビルのテラスで一人昼食です。
午後も、午前の作業を引き続きします。途中、トイレで一息、メールのチェックです。
作業の進行が、やや遅れ気味なので、19:00まで残業して退社です。

帰りは、コンビニで、雑誌とおにぎりを買います。ついでに本の立ち読みを30分くらい。
精算もナナコのようなカードですから会話はありません。「ありがとうございました」と言われても、うなずきだけですので。
家に帰って、シャワーを浴び、冷蔵庫の冷凍食品を解凍して、独りで夕食です。スマホでゲームをしながら、メールを3本入力。
眠くなったので、深夜1:30、就寝です。

どうです、お気づきになりましたか。会話がまったく、ありませんね。
コンビニと、スマホと、PCですから会話の必要がないのですね。
以前にも紹介しましたが、「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002qx6t.htmlによると、
パワーハラスメントが発生する職場の特長として、
「上司部下のコミュニケーションが少ない」が51.1%で、2位の「様々な立場の従業員がいる」21.9%を圧倒的に
引き離して、ダントツの1位となっています。
身近にデータが見つかりませんでしたが、MH問題でもまったく同様と考えています。

認知行動療法の第一人者である、大野裕(国立精神・神経医療研究センター所長)先生も、
「新入社員は、まず挨拶と笑顔から」と強調されてます(日経夕刊、4月12日)。
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主治医への情報提供

2013年05月10日 | 情報
精神疾患にり患し、精神科医の治療を受けている従業員がいる場合、その主治医に会社・事業所の考え方、事業の内容等を
説明することは、とても重要な作業であると云えます。
多くの企業・事業所では、この作業に気が付かないのが現状ですが、後々のことを考えると、
当然の作業であることが理解頂けるのではないでしょうか。

なお、主治医のほうも、「そうしていただけるととても助かります」と、企業・事業所からの情報提供を望んでいるのは事実です。
ということで、主治医側からの企業・事業所への問い合わせは、まず考えられませんので、
企業・事業所から、主治医にアプローチすることになります。
参考までに、主治医に企業・事業所から情報提供する場合は、事前に精神疾患り患者(当事者)の承認が必要です。
また、主治医への説明には、同行することが理想ですが、当事者が了承していれば、企業・事業所の担当者単独でも構いません。

それでは、主治医はどのような情報を必要としているのか、うつ病リワーク研究会のHPから紹介します。
1.今回の休職・休務の合計期間
2.以前のものをあわせて、医師に診断書に基づいて、休務・休職した合計回数
3.以前のものをあわせて、医師に診断書に基づいて、休務・休職した期間の合計
4.現在の会社の勤続年数
5.会社の業種
6.本人の職種
7.本人の職階
8.今回の休務前3ヶ月の平均時間外勤務時間
9.会社の特徴のあらまし
10.部署の業務のあらまし
11.本人の業務のあらまし
12.現業務の経験年数、習熟度
13.復職する際の社内手続き、制度のあらまし
14.復職する際のキーパーソン
15.給与が支払われる期間(現在無給か、何時まで支払われるか)
16.傷病手当金等、給与以外の支払いが行われる期間
17.休職満了退職となる期日
18.復職時にこれまでの職場で受け入れは可能か
19.その他、伝えたいことがあれば
20.連絡先、担当氏名、役職、連絡方法
21.当事者の承諾・署名

以上に加えて、以下についても主治医への情報提供・問い合わせが必要でしょう。
22.産業医の氏名・連絡方法
23.会社の労働安全衛生体制、産業保健スタッフの態勢
24.当事者の生活状況、家庭環境、必要であれば生い立ちまで
25.当事者の復職にあたっての会社側の希望事項、特に当事者の回復程度
26.治療の状況と回復見込み

最後に、会社・事業所と主治医とは、文書のやり取りでも構いませんが、
できるだけ早い段階で、情報交換・情報の共有化という名目で、主治医と直接面談することをお勧めします。
ただし、主治医との面談にあたっては、面談の予約と謝礼の支払いが必要になります。

詳しくは、拙著「中小企業の『うつ病』対策」をお読みください。


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