中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

リワークと試し出勤は別物

2013年05月07日 | 情報
企業に在職中の頃は、40歳前後の約15年間、ゴールデンウィークの休暇は全くありませんでした。
会社はカレンダー通りに休みなのですが、それどころではなく反対に1年で一番忙しい時期で、
精神的にもかなり追いつめられる作業の連続でした。乗り越えられたのは、気力が充実していたからなのでしょうね。
みなさんは、ゴールデンウィークをいかがお過ごしでしたか?
さて、本論に戻ります。

リワークと試し出勤は別物です。
リワークを辞書で調べると、修理とか再生という意味ですが、
精神医学の世界では、休職中のメンタルヘルス不調者が、ある程度まで回復した段階で、
主治医の指導の下に、精神面及び肉体面両面において、復職に向けた準備をすることをいいます。
ですから、あくまでも休業中における復職復帰の準備作業になります。

一方、試し出勤は、主治医の復職可の診断書が出た後で、所属していた企業・事業所において
原職に復帰するための、一連の訓練・作業をいいます。
ですから、試し出勤はリワークのあとに実施する作業をいいます。または、そのように理解しています。
一般的には、厚労省が発出した「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を参考にして行うことになります。

うつ病リワークを専門に研究している、精神科医の団体「うつ病リワーク研究会」は、企業・事業所が
独自に行う試し出勤も、リワークの一環として捉えていますが、
企業・事業所においては、リワークは企業・事業所外で行うものであり、試し出勤は、企業・事業所内でおこなうものと、
区別したほうが分りやすいですし、作業が段階的に、スムーズに運ぶことができるでしょう。
メンタルヘルス対策の専門家でも、けっこうリワークと試し出勤を混同している発言・執筆が目立ちます。
また、企業が制定している、職場復帰支援規程にも、リワークと試し出勤を混同している形跡があります。

リワークは、具体的にはどういうことなのか、試し出勤は、具体的にはどういうことなのか、は別項に譲りますが、
リワークと試し出勤を混同すると、復職を希望する従業員の復職を意味もなく遅らせたり、最悪は、再発させることになります。

人事労務を担当する皆さまや、産業保健スタッフの皆さまには、御社の復職プログラムをもう一度、
点検していただくことをお願いします。

「うつ病リワーク研究会」のHPです、http://www.utsu-rework.org/index.html
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