中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

毎日の観察は、無理ですから

2013年05月23日 | 情報
管理職は、部下の人事労務管理や実務能力の育成を担わされています。
メンタルヘルス対策でも、「いつもと違う部下」を見つけなさい、と教育されています。
さらに、「いつもと違う部下」に気づくには、「いつもの部下」を熟知していないと、対処できません。
それなのに、今どきの管理職は、自分自身も業務を担当する、プレイングマネージャーが主流ですから、
自分の業務もこなしながら、部下のメンタルヘルス管理をしなければならない、
これは、無理難題に近いものを感じます。「いくらなんでも」と、ぼやきたくなるのも理解できます。

そこで提案です。
昨年7月3日の当ブログにて、精神障害の労災認定について、紹介していますが、
ここにある「業務による心理的負荷評価表」を利用すれば、効率的な部下のメンタルヘルス管理ができるようになります。
すなわち、「特別な出来事」2類型と「特別な出来事以外」36類型が惹起することは、あらかじめ想定できるという、
仮説を立てることができるからです。
例えば、⑯1か月に80時間以上の時間外労働を行った、とか、21配置転換があった、22転勤をした、とか、
あるいは、25自分の昇格・昇進があった、34上司が替わった、などは、
人事部門も、上司も、本人も、公の事実として解っているわけですから、
このような場合になったら、「要注意だぞ」と理解すればよいのです。
人事部門と、上司がダブルでチェックしていれば、メンタルヘルス問題の発生を、かなりの確率で防ぐことができます。
チェックリストとしてマニュアル化しておけばよいのです。
もうすでに織り込み済みの事業所もあるでしょうが、まだ、という事業所においては、
一度、検討してみる価値はあるのではないでしょうか。

平成23年12月に制定された、精神障害の労災認定基準
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-15.pdf

別表1の「業務による心理的負荷評価表」です。
「特別な出来事」2類型の他に「特別な出来事以外」36類型が詳細に規定されています。
「特別な出来事」2類型とは、「心理的負荷が極度のもの」、と「極度の長時間労働」です。
以下は「特別な出来事以外」36類型です。

①(重度の)病気やケガをした、②悲惨な事故や災害の体験、目撃をした、
③業務に関連し、重大な人身事故、重大事故を起こした、④会社の経営に影響するなどの重大な仕事上のミスをした、
⑤会社で起きた事故、事件について、責任を問われた、⑥自分の関係する仕事で多額の損失等が生じた、
⑦業務に関連し、違法行為を強要された、⑧達成困難なノルマが課された、⑨ノルマが達成できなかった、
⑩新規事業の担当になった、会社の立て直しの担当になった、⑪顧客や取引先から無理な注文を受けた、
⑫顧客や取引先からクレームを受けた、⑬大きな説明会や公式の場での発表を強いられた、
⑭上司が不在になることにより、その代行を任された、⑮仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさる出来事があった、
⑯1か月に80時間以上の時間外労働を行った、⑰2週間以上にわたって連続勤務を行った、⑱勤務形態に変化があった、
⑲仕事のペース、活動の変化があった、⑳退職を強要された、㉑配置転換があった、㉒転勤をした、
㉓複数名で担当していた業務を1人で担当するようになった、
㉔非正規社員であるとの理由当により、仕事上の差別、不利益取扱いを受けた、㉕自分の昇格・昇進があった、
㉖部下が減った、㉗早期退職制度の対象となった、㉘非正規社員である自分の契約満了が迫った、
㉙(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた、㉚上司とのトラブルがあった、㉛同僚とのトラブルがあった、
㉜部下とのトラブルがあった、㉝理解していてくれた人の異動があった、㉞上司が替わった、
㉟同僚等の昇進・昇格があり、昇進で先を越された、㊱セクシュアルハラスメントを受けた


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