中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

死別悲しみ・2週間で「うつ」

2013年05月14日 | 情報
米精神医学会が定めた精神医学の世界的な診断基準「DSM―Ⅳ」が19年ぶりに改訂され、
第5版の「DSM-5」として来年5月に発行されることになっていますが、
5月11日の読売朝刊に関連する記事がありましたので、以下に転載します。

米精神医学会が近く公表する精神疾患の新たな診断基準「DSM-5」で、子どもや配偶者などを亡くした後の気分の落ち込みを、
安易にうつ病と診断する恐れのある改定がなされることがわかった。
米精神医学会の診断基準は、日本を含む世界各国で用いられている。病気ごとに代表的な症状が列記され、
当てはまる症状の数などで診断する。
うつ病は、「抑うつ気分」「興味または喜びの喪失」の一方または両方と、ほぼ毎日の「不眠や睡眠過多」など、
計5つ以上の症状が2週間続き、生活に支障がる場合に診断される。ただし、死別の場合は、症状が2か月以上
続く場合に診断できる、と規定されていた。
新基準ではこの規定が削除され、脚注で正確な診断のポイントなどが記載される。背景には、うつ病を早期に治療することを
重視する流れがある。だが、子どもや配偶者を不慮の事故などで失った時も、2週間で立ち直らなければ病気とされる可能性があり、
日本の精神科医からも疑問が上がっている。
うつ病は近年、過剰な診断や不適切な投薬が問題視されており、日本うつ病学会は昨年、過剰な診断と治療を戒める
医師向けの治療指針を策定した。
神庭重信・同学会理事長(九州大学教授)は「死別を経験すると、病気でなくても、うつ病と同じ症状が
2週間以上続くことは珍しくない。今年予定している、うつ病治療指針の改定のなかで詳しく説明し、
医師に冷静な対応を求めたい」と話している。

なお、わが国の精神疾患の診断基準は、ふたつあります。
ひとつは、精神科専門医の世界においては、米精神医学会が定めた診断基準「DSM―Ⅳ」を採用しており、
厚生労働省をはじめとする行政においては、WHOが規程する「ICD10」を基準にしています。
高名な精神科専門医に確認すると、両者にはほとんど差がないとのことでした。使い勝手の問題だそうです。

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