中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

会社(企業)が嫌いな主治医もいます

2014年08月27日 | 情報
精神科専門医に限らず、全ての医師には、刑法134条(秘密漏示)第1項 が適用されます、刑法犯です。
ですから、主治医は、患者の個人情報保護には神経を使います。
それに、主治医は、「患者ファースト」です、すべてに患者の利益を追求します。
ですから、会社側が主治医に面会を求めても、会社関係者とは会わない医師もいるそうです。

また、主治医が医療情報を提供するのは、企業においては「産業医」のみです。
他の会社関係者が、患者本人の了承を取ったとしても、門前払いです。
礼を尽くして、主治医に面談を申し込めば、多くの主治医は時間を割いてくれるでしょうが、
その面談での話しは「患者の担当業務、会社の業容、会社が要求する復職時の状態等の説明」で、
会社から主治医への情報提供のみに止まります。
患者である従業員の診療状況等については、質問することすら憚られます。

そもそも、会社側が、主治医に面会を求めて、患者が働く企業の業容、患者の在職時の業務内容、
会社の福利厚生規程、復職時における会社側の要望事項等を説明しなさい、という流れを作ったのも、
拙著や小生の講演が、きっかけになったのではと自負しています。

企業側もこのことをよく理解いただいたようで、最近では殆どの場合、
会社関係者が、休職者の主治医に面談するのが、マニュアルになっているようです。
このような傾向はとても歓迎すべき事態なのですが、一方で、冒頭に述べているように
会社側との面談をかたくなに拒む主治医もいるようです。

なぜか、一種のトラウマのようです。精神科医をはじめとする医師は、医師国家試験を通過していますので、
当然に一定以上のレベルにあるのですが、一方で、企業は百社百様です。
いわゆる「ブラック」な企業もありますし、常識を理解していない、よく言えば「悪意のない」不届きな企業もあります。
このような企業に遭遇した医師は、相当に「反省」してしまうようです。

一方で、社会保険労務士の先生も、このあたりの事情には精通していません。
最近立て続けに、社労士の先生より、主治医(精神科医)に面談するのだけれども、その際の心構えについて教えてほしいとの要望がありました。
結論です。中小企業にとって、産業医の支援はなかなか得られないのが現実です。

そこで、結論なのですが、小生の最近の提言のひとつとして、「主治医」を頼ることをお勧めしています。
産業医の選任義務のない、50人以下の事業所においてはなおさらです。
コメント
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