中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

復職判定委員会

2014年08月18日 | 情報
ブログを再開します。
夏休みをいただきましたが、この間も精神疾患をり患し、闘病中あるいはリハビリ中のみなさん、
さらには、そのご家族の皆さんにとっては、夏休みどころではないと推察いたします。
一日も早い、病状の回復、社会復帰をお祈りします。

休職者が、復職を希望する場合、その可否を審議・判断する「復職判定委員会」を設置することは、
大手企業はもとより、中小の企業にも普及してきているようです。
対象の休職者は、「うつ病をはじめとしる精神疾患のり患者」ばかりではなく、けがや「がん」などから復職する場合も含みます。

そこで、「復職判定委員会」について再確認しましょう。
「復職判定委員会」は、個々の企業の規模や文化、あるいは社長方針などによって異なりますが、
委員長は、人事部長(または、人事課長)、委員は、人事労務担当、健康管理スタッフ、MH推進担当者等、5~8人くらいでしょうか。
人数は、結論を導き出すために必要な最大人数、個人情報を守るための最少人数のなかで、個々の企業で決めます。

ここでの注意点
・「復職判定委員会」を設置は、就業規則、または就業規則に付随する「職場復帰支援対策」に明記します。
・メンバーには、労組代表として、組合書記長を参画させます、これは、筆者の主張なのですが、
 従業員は、自動的に組合員になるのが普通ですし、組合は組合員の健康管理にも関与するのは当然のことですから。
 ところが、最近の労組は、組合員のMH問題は、会社の仕事であって、自分たちの課題ではないと考えているようです。
 しかし、これは大きな勘違いです。組合の使命はなんでしょう、考えてください。
 会社も、労組の協力を取り付けることは必要であることを理解しましょう。
・産業医は、事前に産業医の見解を書面で報告を受けていれば、参加の可否は自由です。
 できれば、参加してほしいところですが、嘱託の産業医は、「復職判定委員会」の開催日に出席できるかどうかわからないからです。
 一般的に産業医の所見が、復職の可否を決める最大の判断基準になります。
 欲を言えば、産業医が参加できる日に、「復職判定委員会」を開催するよう、あらかじめの日程調整が必要です。
・休職者の休職時点の上司・管理職は、出席の対象にはしません。
 たとえ、原職に復帰することが予め予定されていてもです。
 多くの類書やセミナーでは、管理職の関与を、「当然」のように主張していますが、実務は異なります。
 上司・管理職には、本来の業務に専念してもらい、会社に貢献する「アウトプット」を実現してもらいます。
 これも、筆者の主張です。
・MH推進担当者は、委員会の進行を司る事務局ですので、記録も書きます。
 記録は重要です。なお、記録の重要性は、別途に確認しましょう。
 できれば、社内イントラネットの共有スペースに入力し、
 関与する関係者にはいつでも、記録や進行状況を確認できるようにするのが望ましいでしょう。

付け加えることがあります。
「復職判定委員会」は、復職を希望する従業員の申請を審議するだけではなく、
それぞれに判断し、バラバラに活動しがちな「復職判定委員会」のメンバー間の意思統一に活用することが大切です。
本当の設置意義は、ここにあるのかもしれません。
組織の場合、担当管理職がいて、一つの部門で活動するのなら問題はないのです。
しかし、MH対策や職場復帰の問題などには、社内の多くの関係部門が関与し、社内横断型の組織になりますので、
連携が悪くなりますし、セクショナリズムが顔を出しますし、責任の転嫁やなすりつけがはじまります。
このような欠陥を補充する意味で、非定期のミーティングや勉強会なども必要でしょう、
予期せぬ効果にもつながることを自覚してください。

コメント
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