中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

ストレスチェック制度の進行状況

2014年08月01日 | 情報
ストレスチェック制度の具体化進行状況について、知りうる情報をお知らせします。

法案は、6月19日に公布されましたが、厚労省では、現在、告示・通達等の政省令、運用要領等を検討しています。
改正安衛法で最も関心が高い、ストレスチェック制度については、
「ストレスチェック項目等に関する専門検討会」にて細部を検討・調整しています。
小生も、7月15日の第二回、25日の第三回の「ストレスチェック項目等に関する専門検討会」を傍聴しました。
そこでは、法案の可決に際して決定した「労働安全衛生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」が、検討に大きく影響しています。
ストレスチェック制度の施行時期も、当初の来年10月から、早々と2ヵ月延期され、法案ギリギリの12月施行予定となりました。

そこで、以下に付帯決議の一部を紹介します。

労働安全衛生法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(抜粋)

政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

2.ストレスチェック制度は、精神疾患の発見でなく、メンタルヘルス不調の未然防止を主たる目的とする位置付けであることを明確にし、
事業者及び労働者に誤解を招くことのないようにするとともに、ストレスチェック制度の実施に当たっては、
労働者の意向が十分に尊重されるよう、事業者が行う検査を受けないことを選んだ労働者が、
それを理由に不利益な取扱いを受けることのないようにすること。
また、検査項目については、その信頼性・妥当性を十分に検討し、検査の実施が職場の混乱や労働者の不利益を招くことがないようにすること。
3.ストレスチェック制度については、労働者個人が特定されずに職場ごとのストレスの状況を事業者が把握し、
職場環境の改善を図る仕組みを検討すること。
また、小規模事業場のメンタルヘルス対策について、産業保健活動総合支援事業による体制整備など必要な支援を行うこと。

すなわち、
・「職場環境の改善を図る仕組み」を構築しなさい。
・精神疾患の発見でなく、メンタルヘルス不調の未然防止を主たる目的とする位置付けであることを明確にしなさい。
とされました。
これは、一次予防に関わることなのです。
しかし、ストレスチェック制度は、二次予防であり、一次予防でもある、1.5次予防的な趣旨であったはずです。
法律案と付帯決議に大きな隔たりができたわけです。

ですから、ストレスチェック項目等に関する専門検討会では、ストレスチェック項目をどうするのかについて、
延々と議論が続いており、レームダック状態とも云える状況です。
例えば、現在候補に挙がっているストレスチェック項目は、当初の9項目から、なんと23項目に拡大しています。
さらには、「職業性ストレス簡易調査票」と同じ、57項目を対象にするという考えも提案されています。

仕事のストレス要因 (6項目)                    
非常にたくさんの仕事をしなければならない
時間内に仕事が処理しきれない
一生懸命働かなければならない
自分のペースで仕事ができる
自分で仕事の順番・やり方を決めることができる
職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる
心身のストレス反応(9項目+2項目)
ひどく疲れた
へとへとだ
だるい
気がはりつめている
不安だ
落着かない
ゆううつだ
何をするのも面倒だ
気分が晴れない
食欲がない
よく眠れない
周囲のサポート(6項目)
次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?
1.上司
2.職場の同僚
あなたが困った時、次の人たちはどのくらい頼りになりますか?
4.上司
5. 職場の同僚
あなたの個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらいきいてくれますか?
7.上司
8. 職場の同僚

小生の拙い考えです。
「ストレスチェック制度」は、確かに「職場環境の改善」への一里塚なのですが、
「ストレスチェック制度」と「職場環境の改善を図る仕組み」を直接結び付けるのには、無理がありますね。
「ストレスチェック制度」は、当初の考え通りに検討を進め、
並行して「職場環境の改善を図る仕組み」を構築する準備に取り掛かる、というのが無理のない取組み方法であると考えます。
どう料理するのか、行政と専門家の手腕が見ものです。
続きは、追って報告します。
コメント
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