中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

直属上司の立場と役割

2014年08月05日 | 情報
メンタルヘルス対策における、直属上司の立場と役割について、提案します。

多くの類書、及びセミナーや勉強会における講師の説明では、
言わんとすることを要約すると、直属上司は、うつ病をはじめとする精神疾患をり患し、
休業・休職している従業員には、最初から最後まで、心身両面にわたってきめ細かく、「寄り添う」また「関与する」よう推奨しています。
はたして、これで良いのでしょうか?正しいのでしょうか?

勿論、企業は百社百様ですし、社長の経営方針や企業文化もあるでしょうから、一概に語ることには
無理があることを承知の上で、「一案」として紹介します。

原則的な対応策です。
1.直属上司は、休職者の職場復帰支援業務から外します。
そして、本来の担当業務に専念させます。最近は、プレーイングマネージャーが殆どだそうですから、なおさらです。
そうでなければ、本来の業務が疎かになり、会社の業績に大きな障害になるかもしれません。

2.休職者は、復職まで、一時的に人事部所属にさせます。
大事な部門であればあるほど、必要な人事対応でしょう。1名欠員のままで済むわけがありません。

3.会社は、欠員を早急に補充し、戦力を整えます。
欠員のままでは、残った従業員の負荷が過大になりすぎます。次の犠牲者が出ないとも限りません。

4.ただし、直属上司も、休職者の治療経過には気にかかるものです。人事部門は逐次情報を提供すべきでしょう。
休職者の治療経過に気にかからない、上司は、ちょっとまずいでしょうね。忖度してください。

小生、よく戦争の場合を例にして、紹介してきました。
なぜなら、兵法の原典「孫子」やクラウゼヴィッツの「戦争論」を持ち出すまでもなく、分りやすいからです。
戦線を考えてください。兵力が弱った部分を敵から突かれます。
すると、その部隊が崩れます、敵は一点集中突破です、兵法の大原則です。
味方は、総崩れになります。結果は、惨めな敗戦です。
現代の資本主義市場における、企業競争も同じです。

人事労務部門や健康管理スタッフの方には、馴染みが薄いでしょうが、「ランチェスター理論」をご存知でしょうか。
簡単に申し上げると、ある競争市場において、市場占有率(シェア)1位の企業は、
2位以下の企業に対して、圧倒的優位の地位にあるということなのです。
ですから、1位の企業はその地位を守り、かつ盤石な基盤を築こうとします。
一方で、2位以下の企業は、1位の企業の牙城を何とかして、切り崩そうとするのです。
ここに、市場競争という「戦い」が起きるのです。
そのための、新製品開発であり、企業合併であり、はたまた法律すれすれの行動も辞さない、というこになるのです。
話が脇道に逸れました。

精神科医、産業医や弁護士の先生には、以上申し上げてきた事情をご理解頂いていないので、
冒頭に申し上げたような対策にたどり着くのでしょう。
多分に、「軽視」されているのではないでしょうか?
ご参考になれば幸いです。





コメント
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