中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

雇用の二極化を回避しないと

2014年08月20日 | 情報
当ブログでは、何回も取り上げて警鐘を乱打していますが、読売の社説に取り上げられましたので、以下に紹介します。
まず、「同一労働同一賃金」という、大原則があります。
企業は、この大原則を遵守するための、対策を講じています。
それは、
・転勤がない
・会議等への出席がない、つまり意思決定する必要がない
・加えて、残業がない
ということで、異様な格差に結びつけているのです。
しかし、果たして現状はどうなのでしょうかね。

まず、非正規社員でも、常識的に「残業」はあります。非正規社員が定時で退社したら現場の業務は成り立たないでしょう。
転勤がないと言っても、「引っ越し」を伴う転勤がないだけで、日常的に人事異動はあります。
最後の砦、会議等への出席がないと、言いますが、朝礼・昼礼・夕礼は、「会議等」に該当しないのでしょうか。
見事に、前提が崩れています。

また、正規社員を非正規社員に置き換えると、残った正社員の業務に上乗せになりますので、正社員の負担は増える一方です。
そして、非正規社員は、「仕事は同じ」なのに、どうしてこのような格差になるのかという不満に結びつくわけです。

正規社員を非正規社員に置き換えることによって生じる利益は、どうなるのでしょう。
企業側の言い分としては、激しい企業間競争に勝ち抜くためには、コストダウンが必要だ、そのための対策である。
または、投資家から要求される利益の捻出に必要な対策である、と。

話は変わりますが、いま日経夕刊に、火坂雅志さんの「天下:家康伝」が連載されています。
そして、秀吉の小田原攻めが佳境に入っています。
秀吉の戦力運用、人心掌握術の巧みさが描かれています。
軍隊は、三交代制です、実戦配備・休養・演習です。そうしないと戦力が維持できないからです。
戦争まで過酷とは言いませんが、労働者が持てる力を発揮する、または発揮させるには、それなりの戦略が必要です。

限定正社員 雇用の「二極化」を是正したい:社説
2014年08月14日 読売

残業や転勤は多いが安定している正社員と、低賃金で身分が不安定な非正規社員――。
二極化した雇用形態を是正することが急務である。
対策の一つとして期待されるのが、職務や勤務地、労働時間を限って雇用する「限定正社員」制度の普及だ。
厚生労働省の有識者懇談会は、この制度を企業が導入する際の指針をまとめた。
限定正社員は、一般の正社員と同様に雇用期間を定めない採用形態だ。
有期雇用の非正規社員より身分が安定している。
勤務地などが限られている分、処遇や雇用保障の面で一般正社員との差はあるが、昇給や昇進は可能だ。
多様な正社員の形態を設け、非正規社員からの転換の受け皿にする。
育児などで働く時間や場所に制約がある人も正社員になれるようにして、女性が活躍できる機会を増やす。
限定正社員の導入を広げる狙いは妥当だろう。
企業側にも、人材の確保・定着や、生産性の向上につながるといったメリットがあるとされる。
既に、「エリア正社員」などの名称で限定正社員を導入している企業は少なくない。
ただ、解雇条件や賃金水準などが不明確なケースが多いのも事実だ。
このため労働側には、「解雇しやすい正社員が増える」「人件費の引き下げに利用される」といった懸念が根強い。
指針は、限定正社員の働く事業所などが廃止された場合も、「直ちに解雇が有効となるわけではない」として、
配置転換などによる雇用継続の努力を求めた。
賃金水準については、一般正社員とバランスを取るよう促した。
勤務地を限定したタイプなら一般正社員の8~9割とする企業が多い、といった目安も示した。
指針が示されたことは、労使双方にとって一定の意義がある。
指針を踏まえた運用が行われるよう、政府は内容の周知徹底を急がなければならない。
「第二の非正規社員」としないため、限定正社員と一般正社員の固定化は避けるべきだ。
労働者の希望に応じて雇用形態を柔軟に変えられる制度を、各企業が設けることが求められる。
恒常的な残業や度重なる転勤を前提とした一般正社員の働き方を見直すことも重要だ。
労働力人口が減少する中、非正規社員のキャリアアップや女性の活用は、成長戦略のカギを握る。
官民が連携し、働く人の意欲と能力を最大限に引き出す雇用制度の充実に知恵を絞ってほしい。


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