◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

重複花盛り。

2009-03-25 23:01:08 | 言葉についてあれこれ
                     いつもより多く・・・
 芸能人の結婚式が行われる場所に集まった報道陣、あるリポーターが「白鳥の刺繍の打ち掛け」なんて言うから、白鳥は珍しいぞと思って画面を見たら・・・やっぱり鶴! いい年して・・・。そして、「挙式が行われる」「挙式が始まる」と、一体何回言ったんだか、うるさいぐらい「挙式」を連発しました。結婚式を行うことを「挙式」と言うのですから、「式が行われる」「式が始まる」と言えばいいのです。そういえば、大勢の記者に囲まれて「挙式を挙げました」とにこやかに言った芸能人もいましたね。
 世は重複の花盛り。「いちばん最初」は完全に定着してしまいましたから、もうだれも重複だなんて思っていないでしょう。ほかにも、「逃げおおせることができました」「理想と現実のギャップの差」「一緒に同行しました」「きっかけは○○が発端だったのです」「全品オール390円」「原油高の高騰で」「静寂とか静けさとか、そういうのを表現しようと」「マヨネーズを入れるとまとまりもまとまりやすくて」「車の音がふだんよりもより大きく聞こえます」「常時、常備してまして」などなど、毎日たくさん聞こえてきます。「マイナス4ミリも足が細くなった」なんていう面白い例もありますよ。マイナス4ミリ細くなる、ということは? 4ミリ太くなった?
 また、ちょっと分かりにくいけれど、なんかむずむず・・・後でじわーっと来る、こんな例もあります。「父親を殺害した後、無理心中を図った」・・・どうですか? ある殺人事件の報道にて。犯人は、父親を殺害した後、自殺を図ったが、それは未遂に終わって逮捕された。つまり、「自殺を図った」と言うべきところを「無理心中を図った」と言っているのです。
 「無理心中」には父親を殺害することも含まれるわけで、「父親を殺害した後、自殺を図った」ことをもって「無理心中を図った」と言うのです。ですから、「父親を殺害した後、無理心中を図った」だと、「父親を殺害」が重複になります。このニュース原稿を書いた人は「無理心中」という言葉を使いたかったのでしょうけれど、この程度の日本語力で世の中に何を訴えようというのでしょうか( ̄д ̄)?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする