熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

団塊世代を激励・・・竹中平蔵慶大教授

2007年03月14日 | 政治・経済・社会
   最早失言はない!
   と言って登壇した普通の人になった竹中平蔵元大臣が、日経のシニア・ライフ・シンポジウムで、「団塊2007年の幕開けと日本経済の影響」と言う講演を行った。
   小泉内閣での竹中経済の総括を行い、新しいライフ・スタイルが起こると経済が大きく飛躍すると言う経済循環論を展開し、団塊の世代の退職で大きく経済が飛躍すると言う予感を語った。

   シュンペーター流の創造破壊的な景気循環論の上昇局面の説明が面白かったので、触れて見たい。
   新しいライフ・スタイルが起こると、同時にイノベーションを伴って、経済が飛躍的に大変動を起こすと言うのである。
   創造的破壊のスターターが何であるかと言うことが話のポイントだが、新しいライフ・スタイルがイノベーションを刺激して創造的破壊を起こして経済の上昇局面を始動すると言う見解が興味深いのである。

   1920年代の日本経済は、その典型だと言う。
   1923年に関東大震災が起こって、都心の密集地での生活は危険であると言う風潮が高まり、人々の郊外への移動が始まった。
   即ち、郊外生活型のライフスタイルが起こって、郊外電車が始動し始め、郊外に高級住宅地が建設された。
   この波に乗ったのが小林一三の阪急電車であり、東京では東急であった。
   郊外から梅田に人が集積するのを見て、小林は、世界初のターミナル百貨店を建設した。
   この時、同時に、東京の地下鉄網や国鉄山手線が敷設されて都心の交通網も整備された。
   また、産業界では、電気で走る電車を見て電気の時代を予感した幸之助が松下を設立し、東芝や日立も産声を上げて、その頃開始したNHKの放送に合わせて、ラジオを売りまくった。
  
   コンドラチェフの50年サイクルの経済の大飛躍の歴史についても語った。
   1860年のパックス・ブリタニカ。旅行が流行しその頃ルイヴィトンが生まれた。そう言うと、イギリスのトマス・クックが動き始めたのもこの頃である。
   1910年、世界第一次世界大戦、アメリカのGNPがヨーロッパを凌駕した。タイタニック号が建造されたのもこの頃である。
   1960年、ジャンボジエット機就航、世界旅行の大衆化。
   愈々、黄金の2010年である。

   団塊の世代の退職に伴う2007年問題の幕開けだが、前年度と比べて退職金だけでも2~3兆円増加し、銀行がその囲い込みに奔走していると言う。
   2007年以降の団塊世代の動向が、新しいライフスタイルを生み出し、経済に大変動を起こす可能性がある。
   アンケートによると、団塊の世代のもっともやりたいことの筆頭は「旅行」であり、旅行業をはじめ交流を生み出す産業が有望視されると言う。
   日経の「マネー」に掲載されているハートフォード生命保険の調査で、定年後に最初にやりたいことの調査でも、男性の第一位は「国内・海外旅行・・・世界遺産めぐりetc.」で、女性の第一位は「海外のロングステイ、海外長期旅行」となっている。
   余談だが、海外旅行、それも、凝った特別な目的を持った趣味旅行は、体力と知力のある若いうちに限るので、団塊の世代の方も急がれた方が良い。欧米にいて、旅の楽しみなどなんのその、ぐったりして動けなくなった老人観光客を沢山見ている。
   小泉内閣の将来の定住人口減を補う為に交流人口を増やす文化観光戦略が有効だということであろうか。

   竹中教授は教養についても語った。
   これまでは、ビジネスに勝つための知、人と戦うための武器としての知を追求して来たが、これからは、人と人とを結びつける知の追及、新しい形の教養を求めることが大切であると言うのである。
   2030年を展望したBIG PICTUREでも、可処分時間の12%増加が見込まれていて、人々の「自分に投資して人生を楽しむ」傾向が強くなると、高等教育に目が向いて行く。
   現在日本人の大学院進学率は0.2%だが、アメリカ並みの0.8%と4倍になると見ている。
   竹中教授は、重要かつ将来有望な産業として、前日の観光と教育に加えて健康の大切さを強調していた。
   問題は、政府の締め付けと規制が強すぎることだと言う。
   
   
   
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