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セブンイレブンとドラッカー

2019-03-01 20:05:53 | ビジネス

セブンイレブン本部とフランチャイザーである、コンビニオーナーたちとの間で「24時間営業」について溝が深まっている。
毎日新聞:コンビニオーナー団体、セブンイレブンに24時間営業見直し要望
毎日新聞:24時間営業の短縮、セブン、加盟店オーナーとの団体交渉に応じず「労使関係ない」
交渉に応じないどころか、「24時間営業を止めたい等という話は聞いたことが無い」という趣旨の話も出ている。
日経ビジネス:セブン社長が語っていた「24時間営業止めたいなんて話は出ていない」

これらの一連の話の流れから、関西の経済界からはセブンイレブンに対して批判が出てきている。
朝日新聞:関西経済界からセブン本部批判「自分ならこんなことで」

いくらセブンイレブン本部が「24時間営業を止めたいという声が無い」といったところで、セブンイレブン本部側のほうが分が悪い、という印象はぬぐえないだろう。
おそらく拙ブログに来てくださる方々も、一連の話から「以前、セブンイレブンは『ブラック企業大賞』を受賞しただけあって、ブラックな体質だな~」と、感じていらっしゃるのでは?と、思っている。

ところで、セブンイレブンとマネージメントの父と呼ばれたドラッカーが、一体どう関係しているのか?と、不思議に思われている方もいらっしゃると思う。
実は、セブンイレブンの元々の親会社だったのは、大手スーパーの「イトーヨーカ堂」だった。
今は売上などでもセブンイレブンの方か大きく、子会社に飲み込まれた感があるが、「セブン&ⅰホールディングス」の名誉会長はイトーヨーカ堂の創業者である、伊藤雅俊しだ。
そのイトーヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊氏はドラッカーと交友関係にあり、「ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院」という、学校まで米国で創っている。

創業者である伊藤雅俊氏は、ドラッカーの実践的な経営スキルをより多くの人たちに理解してもらう為に、このような学校を創ったはずなのだが、肝心な自分の会社の一つであるセブンイレブン本部には、そのようなスキルを学ばせ、実践させてこなかった・・・ということになる。

これまで、企業には創業者の考え(「DNA」という表現をされることもある)が、その企業文化の中心となり、企業は成長していく、と言われてきた。
おそらく、セブンイレブンも「雇われ社長」が登場するまでは、そのような企業文化があったのかもしれない。
しかし、現在の「雇われ社長(=経営のプロと呼ばれる人でもあるが)」にとって、重要なことは目先の自社の売り上げ(=自分の経営手腕の成果だと信じている?)」であり、それ以外は株主から評価される材料は無い、と思っているのではないだろうか?
自分の成果を評価するのは、株主でありドラッカーの言う「企業を取り巻くすべての関係者」だとは、思っていないのだろう。

もちろん、このような考えはドラッカーのマネージメントを含む幾つもの著作の中には、書かれてはいない(はずだ)。
にもかかわらず、このようなことが起きてしまうのは「本に書かれていることは綺麗ごとで、理論はそうかもしれないが、現実は違う」という考えが頭にあるからではないだろうか?

ただ、一連の話の流れの中で「関西経済界からの批判」は、これまでの「ブラック企業大賞受賞」という話題よりも、セブンイレブンにとっては致命的な問題となっていく可能性は高い。
何故なら、批判をしている相手はコンビニオーナーと違い、政財界に影響を及ぼす人達だからだ。
このような影響力のある人達からの発言は、当然株主の考えにも大きく影響するだろうし、株価にも影響するだろう。

セブンイレブン本部は、これからどれだけ名誉会長である伊藤雅俊氏の考えを経営に反映させることができるのだろう?
それができない、と社会から判断されたときセブンイレブンの未来は、無いような気がする。



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