トランプ政権になってから、「トランプ大統領vs米国トップエリート大」という、攻防が繰り広げられていた。
最初は、政府から支払われる助成金の停止だった。
その中でも助成金額が一番多かった、ハーバード大学との間では「助成金凍結の取り消し」を裁判で争う状況になっている。
そして次の一手として、トランプ氏が仕掛けたのが「留学生の受け入れ資格取り消しと在学留学生の転出」だ。
REUTERS:ハーバード大の留学生受け入れ資格取り消し、トランプ政権 在校生には転出要求
米国における大学の留学受入れ資格の内容を知らないので、私立大学であるハーバード大に対してこのような措置が有効なのか、分からないのだが、当然のことながらハーバード大側は、反発するだろう。
「助成金凍結」の時にも、「反ユダヤ」を理由にしていたが、それだけの理由で大学への助成金を凍結したりすることに、違和感を感じていた。
今回の「留学生受け入れ資格取り消しと在学留学生の転出」ということと「反ユダヤ」が、やはり結びつかないのだ。
そもそも、何故トランプ氏が「反ユダヤ」を理由に米国のトップエリート大と反目しあう必要があるのだろうか?
確かにトランプ氏は、パレスチナ問題について積極的な発言をしている。
前回と今回の政権思考の大きな違いは、この「反ユダヤ・親パレスチナ」ではないか?と、感じるほどだ。
その背景にあるのは、何なのか?
前回と同様の「反知性主義」的な発想なのか?
それとも、今回の選挙でトランプ氏を支えた陣営が「反ユダヤ系」だったからなのか?
様々な思惑が、思い浮かぶ(のは、私だけではないと思う)。
もし、トランプ氏の「反ユダヤ・親パレスチナ」という考えによって、「反知性主義」的な米国社会になってしまえば、おそらく米国は経済的に衰退してしまうのではないだろうか?
何故なら、米国は「多様性」の中で経済が発展し、それを支えてきた一部は、米国のトップエリート大でもあるからだ。
その点を理解していないのだとすれば、トランプ氏は「米国の世界的な影響力を衰退させただけではなく、米国経済を地に落とした大統領」ということになるだろう。
確かに、前回と同様にトランプ氏の支持者の多くは、「忘れ去れた人達(=Rust Belt)」と呼ばれる人たちであり、彼らにとってトップエリート大は、ある種の憎しみの対象となっているだろう。
「自分たちは、仕事を失い大変な思いをしているのに、『クソどうでもいい仕事(=Bullshit Jobs) 』で、のうのうと金を稼ぐ奴ら=トップエリート大卒の奴ら」という感情だ。
おそらくこの「感情」の中には、アジアからの留学生なども含まれているのでは?
特に、「中国の富裕層たちが、経済力を背景に子弟を積極的に、米国のトップエリート大に留学させるのは、けしからん!」とか「米国の大学で学び、米国の企業の技術や研究を盗みとっているのでは?」という、考えがあるような気がするのだ。
ただ、トランプ氏のいう「反ユダヤ・親パレスチナ」と「反知性主義」とは、異質な考えのはずだ。
何故なら「反ユダヤ」といった時、米国のトップエリート大にはユダヤ系の学生や教授が、数多く在籍しているはずだからだ。
そう考えると、トランプ氏の「反ユダヤ・親パレスチナ」という考えを基に、ハーバード大をはじめとするトップエリート大に対する一連の行動には、整合性が感じられない、ということになる。
トランプ氏は、気分屋で自尊心が高いだけではなく、過剰なほどの自信家なのでは?と、感じている。
だからこそ、トランプ氏に振り回されないだけの、冷静で客観的な視野を持つ必要があるかもしれない。
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