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不振のアパレル業界の救世主?それとも・・・

2009-03-08 10:00:00 | ビジネス
昨日、「東京ガールズ・コレクション」が東京・代々木第一体育館で行われた(紹介記事は産経新聞)。

拙ブログに来てくださる方の多くが、男性諸氏のようなので「東京ガールズ・コレクションって????」と言う方もいらっしゃるかも知れない。
実は日本で行われる多くのファッションショーは、パリやミラノ、ニューヨークなどで行われているファッションショーとは大きく違う点がある。
それは、入場チケットを販売し一般の人たちが見られると言う点だ。
その点で、海外のファッション業界の人たちからは、ショーとしてあまり高い評価を受ける事が無いといわれている。
それでも以前は、デザイナー志望の学生などが自腹で見にきていたのだが、最近では開催期間も短いために、「東京コレクション」自体の人気がなくなり始めているとも言われて久しい。

そして今回の「東京ガールズ・コレクション」だが、ファッションショーと言うよりも「展示即売会」と言うほうが正しい。
なんと言ってもその特徴は、目の前で繰り広げられている洋服を、携帯で即買いできることだ。
1回の買い物で、数万~10万円を使う女の子達は、ザラだと言われている。
もちろん、そのためには事前に登録をする必要があるのだが、今や携帯で買い物をするのが当たり前と言う、若い女性達にとっては難しいことでも何でも無い。
そのため、不振のアパレル業界では救世主扱いとなっているショーでもある。

しかし、ここで考えなくてはならないのは、このような状況で販売された商品がファッションショーの本来の目的である「トレンドを創る」コトと結びつくのか?と言う点だ。
と言うのも、写真を見ていただければ分ると思うのだが、一種の熱狂状態の中で「ポチ」と送信ボタンを押して、洋服を買ってしまっているのだ。
ショーのランウェイを歩くのは、自分とはまったく違うファッションモデル。
自分が同じ服を着ても、同じ様なイメージになるとは限らないのだ。
むしろ「え゛」と言うコトにも考えられる。
それでは、本当のファッション文化が日本に根付くとは考えられないのだ。

1970年代~1980年代、川久保玲さんや山本耀司さん、三宅一生さんなどファッションの本場パリで、そのデザイン性やファッションに込められたメッセージ性、精神性が高く評価された。
残念ながら、その後を追うような日本人デザイナーが登場していないのも事実なのだ。
その事を考えると、果たしてこのようなショーが本当に日本のファッション産業にプラスなのか、やや疑問に感じるのである。


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