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「ブラインドテスト」とブランド

2018-02-07 17:43:53 | ビジネス

「ブラインドテスト」という、生活者テストをご存じだろうか?
別名「目隠しテスト」と呼ばれるモノで、提供する商品や企業名を明かさずに生活者にテイスティングなどをしてもらう、という生活者テストだ。
洗剤のように、汚れ落ちを客観的に分析できるが、柔軟剤などの香の好みなどはこのような生活者テストを実施することがある。

バレンタインを前に、面白い「ブラインドテスト」の記事があった。
東洋経済:ゴディバと森永製菓、どちらがおいしいのか

結果は記事を読んでいただくと分かる通り、僅差で森永製菓に軍配が上がった。
高級感溢れるゴディバが、親しみのある森永製菓とほとんど変わらない「味」であった、というこの結果に、意外だと感じる方も多いかもしれない。
何故なら、ゴディバと森永製菓とでは価格が随分違うからだ。
このことからわかるのは、「おいしさの基準は、価格ではない」ということだと思う。

もちろん、このテストが日本で行われたからこその結果である、ということは忘れてはいけないだろう。
森永製菓の様々なチョコレート菓子を食べてきた日本人の多くにとって、森永製菓のチョコレートの味は親しみがあるだけではなく、日本人の味覚を研究して時代に合わせて作ってきているはずだからだ。
その点で考えれば、ゴディバは日本の市場でよく健闘をしている、と言えるかもしれない。
あるいは、日本人の味覚が欧米に近づいている、とも考えられるかもしれない。

実は、このような「ブラインドテスト」によって、それまでの企業イメージと商品の好みがマッチングしない、ということは過去にもあった。
有名なところでは、「マクドナルドのコーヒーVSスターバックス」の「ブラインドテスト」だろう。
ご存じの通り、日本でのカフェブームを創り出したのはスターバックスだ。
その後次々と、同様のカフェスタイルのお店がオープンした。
当然提供されるコーヒーは、やや高めではあるが「美味しい」という評判だった。
ところがスターバックスにとって、結果は無残なものだった。
圧倒的に「マクドナルドのコーヒーのほうが美味しい」と回答した人が、多かったからだ。

このように、ブランドイメージから得られる「モノ・コト」と提供される商品、特に食べ物が「ブラインドテスト」の結果によって大きく違ってしまう、ということは珍しいことではない。
逆に言うなら、私たちは商品やサービスを選ぶ時、ブランドイメージに少なからず影響を受けている、ということでもあるのだ。

企業にとって「ブランドイメージ」は、「見えざる資産」とも言われ重要な位置づけとなっている。
しかし、生活者側はその「ブランドイメージ」に左右されない「五感と美意識」を持つ必要があると思う。
それが、市場を鍛えることにつながるからだ。




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