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花森安治と「暮らしの手帖」

2010-11-27 20:24:39 | ビジネス
花森安治と言う名前を聞いても、「誰?」と思われる方も多いかもしれない。
「暮らしの手帖」の名物編集長と言えば、おわかりになるのではないだろうか?
と言っても、今現在の「暮らしの手帖」の編集長ではなく、昭和と言う時代の頃の名物編集長だった方だ。

実は、部屋に散乱している本を片付けようと、ゴソゴソとしていたら数年前に出版された「暮らしの手帖・保存版Ⅲ 花森安治」が出てきて、しばし作業の手を休め見入ってしまったのだ。
おかげで、肝心の片付けは出来ず・・・今だに部屋には本が散乱している(恥)。

見入ってしまったのには、理由がある。
その一つが「暮らしの手帖」名物企画「商品テスト」は、消費者のためのモノではなかったというコトだ。
その証拠に、花森さんは「賢い消費者」と言う言葉が、嫌いだったと言う。
その意味は、「商品を作るメーカーが、消費者のことを考え、よい商品を作れば、賢い消費者などというコトバは、必要がない」と言う考えからだ。
だからこそ「商品テスト」は、生産者のためのテストなのだ、と。
そして「商品の公平性を保つために、企業広告を掲載しない」と言う、強い考えがあったようなのだ。
その「公平性」の精神は今でも引き継がれ、現在の「暮らしの手帖」には企業広告が掲載されていない。

それ以外にも、目を引くのがとても力強いコピーがある。
例えば「世界はあなたのためにはない」と言う、新社会人(となった女性)に向けてのメッセージだ。
この文章が掲載されたのが、昭和40年代初めの頃なので今とはまったく社会状況が違うのだが、この文章のコピーを見て、ドッキとした方は多いのではないだろうか?

他にも「本当に美しいものは何だ 必要なものは美しい 暮らしと結びついた美しさ」と言うコピーは、「暮らしの手帖」が「美しい暮らしの手帖」と言う雑誌名から始まったことを考えれば、「暮らしの手帖」と言う雑誌の基本理念のようなモノを感じさせる。
「ぼくたちは運動体だ」と言うコピーは、1970年代伊勢丹のコピーを書いていた土屋耕一さんの様な軽快さを感じさせる。

そして今の時代は、「質のいいユーモアの欠けている世界は真っ黒」と言うコトになるのかも知れない(「真っ黒」の部分は、黒のバックに白抜きの文字)。



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