Yahoo!のトピックスに、なかなか面白い東洋経済の記事があった。
東洋経済on-line:「聞かれてこそ音楽」、だからJASRACに対抗する
JASRACといえば、今や音楽の著作権をたてに市井の音楽教室などを虐めている団体、というイメージがついてしまった感がある。
そのJASRACに対抗(?)する著作権管理会社として立ち上げられたのが、NexToneということになる。
JASRACが、著作権管理の全体の95%を占めるということを考えると、NexToneの存在は「ごまめの歯ぎしり」程度のことかもしれない。
だが、記事中にあるNexToneが管理しているミュージシャンの名前を見ると「ごまめの歯ぎしり」とは言えないのでは?という気がしてくる。
というのも著作権管理が一部とはいえ、一昨年ごろからJ-Popの音楽セールの中心となっている、「ストリーミング」チャートの上位ミュージシャンが名を連ねているからだ。
ご存じのように、今や音楽を聴くスタイルはCDでもダウンロードでもなく、ストリーミングになっている。
特に若い世代では、毎日のようにお気に入りのミュージシャンの音楽を、その日の気分でスマホアプリからストリーミングで楽しんでいる。
それだけではなく、今は音楽の情報発信も多様化している。
そのためミュージシャンの多くは、新曲のリリースに合わせyoutubeでMVを公開し、世界へ自分たちの音楽を発信している。
youtube上には、J-Pop好きの外国の方が「リアクション動画」と呼ばれる動画を、盛んにアップしている。
動画をアップしている人の国籍も、アジアから欧米まで様々だ。
このような人達が情報発信源となり、ネット上ではJ-Pop市場はグローバル市場へと変化しつつある、考えてよいと思う。
このような状況の中、先日NexToneに一部著作権管理をしているofficial髭男dimsが、最新EPの一部楽曲を「StemPlayer」で公開した。
official髭男dims:StemPlayer特設サイト
Real Sound:official髭男dims、「HELLO」「I LOVE…」Stemプレイヤー特設サイトで公開 リミックスやアレンジも可能に
Stemとは、楽曲を構成する音を各パート毎にまとめたトラック・システム・プレイヤーで、自分の聞きたいパートだけを取り出して聴いたり、特定のパートだけを組み合わせて聴くということもできる。
もちろん、聴く人が自由にリミックスしたりアレンジすることができるということになる。
私の理解が違っているのかもしれないが、一つの楽曲をバラすことで音楽を楽しむ幅を広げる、というこれまでとは違う音楽の楽しみ方の提案、ということになると思う。
となると、これまでのような「著作権」という概念が、少しだが崩れてしまうのではないだろうか?
何故ならStemというシステムは、聴く人が楽曲を一度バラして再構築することができるからだ。
リミックスやアレンジを個人でするだけなら、著作は関係がないということになるとは思うのだが、このようなプレイヤーシステムの普及、そしてyoutubeなどの動画サイトへの投稿などが拡がっていくと、JASRAC側も何らかのアクションをおこさざる得ないだろう。
NexToneの考えるように「音楽は、多くの人に聞かれて価値が生まれる」という考えに、多くのミュージシャンたちが共感し、これまでとは違う方法で「音楽を届ける」様になると、JASRACのような発想の著作権管理は対応できなくなってしまう可能性がある。
そしてNecx Toneが狙っているのは、その「これまでとは違う音楽の届け方」による著作管理であり、それらに伴うプロモーションなのではないだろうか?