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ヤマト運輸の翌々日配達を考える

2023-04-20 19:00:33 | ビジネス

先日、ヤマト運輸が「一部地域において、翌日配達から翌々日配達にする」というニュースがあった。
NHK:ヤマト運輸配達体制見直し 一部の地域で「翌々日」に6月から 

このニュースを受け、サービスの低下だと感じられる方が多いと思う。
実際、夕方コンビニで出した荷物が翌日届く、というのは便利なことこの上ない。
人は、便利なモノ・コトに対しての順応性は高く、便利だと感じていたものから不便だと感じるようなモノ・コトへ変わる事に対して、強烈なほどの抵抗感を感じる。
それが「サービスの低下」という言葉となってくるはずだ。

まず考えなくてはいけないのは、「翌日配達」を目指してきたサービスを「翌々日」に変更する理由だろう。
これは、今盛んに国交省などが告知CMをしている「トラックの2024問題」と、大きく関わっている。
国交省:トラックの「2024年問題」を知っていますか!? 

2024年に運送に携わる人の時間外労働がこれまでより短くなる、ということと大きく関わっている。
時間外労働が年間960時間というと、80時間/月ということになる。
元々人財不足と指摘されている運送業界にあって、時間外労働の制約が加わる事で、物流そのものの遅れが起きてしまうので、経済団体に理解を求める、というのが国交省の発表内容だ。

当然、この指示に従いヤマト運輸も無理な翌日配達ではなく、現実的な翌々日配達という方針を打ち出した、ということになる。
だったらドローンでもなんても使って、現在の翌日配達を維持して欲しい、と思う方もいらっしゃると思うのだが、運送のネットワークそのものは日本中に網目のように張り巡らされており、今回対象となっている地域間をトラック輸送からドローンで行うこと自体、無理がある。
とすれば、利用者側もまたこれまでの「翌日配達」という、スピード重視の発想を転換する必要がある、ということになるだろうし、それを国交省も求めている、ということになる。

そもそも「(ほぼ)日本全国翌日配達」という利便性によって、生活者の感覚そのものも「せわしなくなった」のではないだろうか?
仕事のスピード感は常に求められるような環境の中で仕事をしていると、そのスピード感が当たり前のようになってくる。
それが悪いわけではない。
「Time Is Money」や「時は金なり」という諺がある通り、「時間と労力はお金に反映される」。
そのどれかが欠けても、ビジネスは成り立たないという一面を持っている。

そこで「発想転換が必要」となるのは、「心のゆとり・心の余裕」だろう。
「常に先回りをして、仕事の準備をする」といえばわかりやすいかもしれない。
最初は翌々日の配達となり、不便さを感じる事も多々あるはずだが、在庫管理データをしっかり行うことで「予測をし、余裕をもって発注をする」ということだ。
それは個人であっても同じことだろうし、逆にネットのECサイトでポチる前に一呼吸をして「これって、本当に今必要?」と、考える余裕を持つような習慣づけとなるかもしれない。

と同時に、これまでのような「モノで満たされる時代」ではなく「モノ以外で満たされる時代」へシフトするきっかけである、ととらえる必要があるのかもしれない。



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