日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

誰もが、糸井重里さんになれるわけではない

2018-04-19 19:57:49 | マーケティング

日経トレンドがネット向けに新しいサービスを始めたようだ。
名前は「日経クロストレンド」。
先日、この「日経クロストレンド」のインタビュー記事を見かけた(有料記事の為、全部は読めないのが残念だ)。
消臭剤などでおなじみのエステーで、取締役クリエイティブディレクターをされている鹿毛康司さんのインタビュー記事だった。
ゲストは「ほぼ日」の糸井重里さんだ。
日経クロストレンド:鹿毛康司vs糸井重里 ヒットを生む、心の「大衆」前編
         :鹿毛康司vs糸井重里 「いいこと考えた!」が言える組織にアイディアが集まる 後編

前編の「ヒットを生む、心の『大衆』」の意味は、「ほぼ日」が生み出す様々な商品に対して、糸井さんが「マーケティングはしていない」と話しており、「代わりに自分の心の大衆に聞く」という趣旨のことを話しているからだ。
インタビュー記事でこの言葉を読んだとき「それは、糸井さんだから・・・」と、思ったのだ。

鹿毛さんが、インタビュー前編の最初で「広告批評」について、触れられている。
私も、マーケティングという仕事を始めた頃、熱心に読んだ雑誌だ。
2009年に廃刊となってしまったので、お若い方の中にはご存じない方も多いかもしれない。
私にとっては「広告」のイロハを教えてくれた雑誌であり、広告だけではなくマーケティングの中でも「生活者の気持ちをとらえる」ということの重要性を教えてくれた雑誌でもあった。
その「広告批評」に、「ほぼ日」を始められる前の糸井さんがよく登場していたのだ。

その頃から、糸井さんの発想の切り口はユニークで「なるほどな~」と、思うところも多かった。
ただ、その発想そのものは「糸井さんだから」という気がしていた。
逆説的な言い方かもしれないが、「糸井さんを真似ても、失敗をする」という気がしながら、何度も読み返した記憶がある。

日本のヒットするビジネス本の多くが「HOW TOもの」と言われている。
「〇〇をすれば、××になる」というような、分かり易さと誰もができそうな雰囲気があるからだろう。
しかし残念なことに、このような「HOW TO本」の通りにやってみても、同じ結果にはならない(事のほうが多い)。
実は糸井さんが話していることも、「(僕に)HOW TOを求めても意味はないですよ」と、言っているような気がするのだ。

だからこそ、「自分の心の中の大衆」と言う言葉を、使われているような気がするのだ。
「人を視る前に、自分を視てみたら?」と。
「ビジネスパーソンとしての自分と、仕事を離れた自分は別人なのか?」と聞かれたら、多くの人は「同じ」と答えるだろう。
ところが、仕事で「生活者を視る」という立ち位置になったとき、自分のことを忘れ、「〇〇であれば、××になる」的な発想に陥ってしまいがちになるのだ。

だれもが、糸井重里さんになれるわけではない。
大切なことは、糸井さんの発想のエッセンスをどう受け止め、自分に身に着けさせることができるのか?ということなのだと思う。



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