ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、随分日が経ってしまったような気がする。
しかし、状況は好転するどころか、どんどん泥沼に入り込んでいるような印象がある。
これまで3回(だったと思うのだが)行われた調停も不調に終わっている。
調停後に出されたロシア側のコメントは、ロシアにとって都合の良いことばかりで、決して受け入れられるようなものではない、と世界の多くの国々が感じているはずだ。
それらの報道の他に、ロシアから撤退する企業についてのニュースもある。
マクドナルドなどの米国資本の企業が撤退する、というのは当然だとして日本の企業も撤退を表明してきている。
ユニクロなどは、ロシア国内の店舗の営業を一時停止する、と発表している。
他にもソニーはグループ全体での一時停止を発表し、任天堂はロシア向けのゲーム機などの輸出を停止するなどしている。
フランスの高級ファッションブランドも、次々とロシア向けの販売を停止する、と発表をしている。
既に、EUや米国、日本などからの経済制裁が始まっていることを考えると、ロシア経済に与えている直接的影響は大きいと思う。
その反面、ロシア向けの商品の販売一時停止やファーストフード店などの撤退などは、ロシアの人たちにとってどれほどの影響があるのか?という気もしている。
というのも、一時的停止や撤退の多くは「生活に与える影響がどれほど強いのか?」という点では、さほど大きくないのでは?という気がしているからだ。
例えば任天堂のゲーム機やソニーエンターティメントなどが無くても、実質的な生活には困らない。
ましてフランスの高級ファッションブランド商品をロシア全体でどれほどの人が購入しているのだろう?という、疑問もある。
確かにフランスの高級ファッションブランドが進出する、ということは、それだけ購入力のある富裕層の人たちがいる、という「対外的国の経済力」を示すバロメーターのような部分はある。
あることには違いないと思うのだが、だからといってロシア市民にどれほど影響力があるのか?という点では、疑問があるということなのだ。
それだけではなく、旧ソ連時代は食品や日用品は「配給制」が当たり前で、その「配給」も安定的なモノではなかった、という記憶がある。
それがロシアという国になり、BRIC´sと呼ばれるようなり、欧米諸国や日本から積極的な投資がされるようになった。
その理由の一つが、「エネルギー資源の豊富さ」だった。
ロシアの目論見(というよりもプーチン氏の目論見)としては「エネルギー資源」という切り札をもって、欧州の国々を配下に収めたい、という考えだったのでは?
話がそれてしまったが、ロシア側がすでに日本を「敵対する国」に指定していることから、日本企業が一時期的であってもロシア市場から撤退するのは、当然といえば当然だと思う。
だからこそ、今は海外進出に対してひと呼吸ついて、考える時期なのかもしれない。
これまで日本企業が海外進出するときは「市場規模」や「ローコストで生産できるのか?」といった、経済面を中心に考えてきたように思う、
しかし、海外でのビジネスには「市場規模」や「人件費などの費用面」だけで判断することのリスクを、今回のロシアや中国の動きで知ったような気がするのだ。
もちろん、収益という点では「市場規模」や「費用・経費」などはとても重要だ。
だからこそ、海外進出するときには、進出する国の文化的背景や国としての政治的姿勢を十分に、知る必要があるような気がするのだ。
上述したように、ロシアという国にとってマクドナルドやコカ・コーラが一時撤退をしても、日本のユニクロ、任天堂が一時撤退しても、ロシア市民にとって、生活のダメージは少ないのでは?と、考えている。
そもそも、様々な海外からの情報を遮断し、情報操作をしている状況なのだから、撤退理由などは知らされていない可能性のほうが高いだろう。
とすれば、再び進出するときには、今回の「ロシアによるウクライナ侵攻」に対する考えを、丁寧に情報発信する必要があるのでは?と、考えるのだ。