日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

市場を充実させるためには、ライバルが必要

2016-12-01 20:07:38 | ビジネス

今日、コンビニに寄ったら保冷のデザートのショーケースに、目新しいパンがあった。

このパッケージを見て、何か気づかれただろうか?
ここ数年人気になっている「生クリームばん」が、コンビニで売られていたのだ。

「生クリームぱん」と言えば、真っ先に思い浮かべるのが「八天堂」さんではないだろうか?
元々は広島の三原市という、地方都市のパン屋さんだったのだが、数年前から話題となり、今や大都市の駅ナカなどで売られるようになった・・・という、ヒット商品だ。

その「八天堂」さんと同じ分野(というべきか?)のパンを、コンビニで扱うようになった、ということのようだ。
この「清水屋」さんは、岡山のパン屋さんで創業も「八天堂」さんよりも、随分新しい。
実はこの「生クリームパン」を見た時、少しうれしかったのだ。
理由は、「ライバルが登場」したということが、嬉しかったのだ。

ご存じの方も多いと思うのだが、この「生クリームぱん」の市場というのは、「八天堂」さんが切り開いた市場だと思う。
「八天堂」さん以外にも、作っていたパン屋さんはあったのかもしれないが、大評判となり「生クリームぱん」という市場を創ったのは、「八天堂」さんだと思う。
そのため、どこへ行っても「生クリームぱん=八天堂」という、状況になっていた。
「生クリームぱん」の市場そのものが、八天堂が独占をしていた・・・という状況になっていた、と言っても過言ではないと思う。
だが、それでは「生クリームパン」という市場は、広がってはいかない。
市場を広げるためには、「ライバル」となる企業が必要なのだ。
なぜなら、完全独占状態の市場は、いつか生活者が飽きる等のリスクがあるからだ。

例えば「萩の月」という、仙台の銘菓がある。
この「萩の月」が発売された当初、話題になり「仙台土産=萩の月」というイメージさえ作られた感がある。
ところが「萩の月」の大ヒットにより、様々な地域の菓子店で「萩の月」の類似商品を作り始めたのは、ご存じだと思う。
もちろん、そっくりそのまま「萩の月」をマネしていては、地方のお土産としての魅力は無い。
そのため、それぞれの製菓企業が、オリジナルに近いお菓子を作り始めたのだ。
「萩の月もどきだけど、地域色が感じられる」という工夫を、後発の製菓企業はしている。
その結果、「萩の月」そのものの市場的価値は揺るがず、「カスタード入り蒸しケーキ」というお菓子は、全国各地へと広まっていったのだ。

このような傾向は、お菓子だけの事ではない。
自動車メーカーにしても、複数の企業があり、個々の企業が「自社らしさ」を求めながら、自動車という市場を拡大させていった。
生活者に対して「選択肢を与える」ということは、市場の活性化と拡大を導くものでもあるのだ。