日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

欲しいモノがない!

2014-12-09 20:56:36 | マーケティング

先日、久しぶりに派遣で一緒だった友人と会った。
一緒に仕事をしたのは1ヶ月ほどだったのだが、同世代ということもあり話があい仕事を離れてからも時々会う。
その友人と話しをしていて「最近、欲しいモノがないよね~」という話になった。

彼女は決して物欲が無い、という訳ではない。
食品や日用品の様に、日々生活のために必要なモノは別にして洋服などのように「何かあれば買う」という様な、商品に「解体ものが無い!」というのだ。
正しく言うと「自分が欲しい!と思えるデザインや色の服やバッグがない」というコトなのだ。

男性諸氏からすれば「そんなに、服やバッグが必要なの?」と思われるかも知れないのだが、女性の場合「TPO+その日の気分」で、その日の服装を決めるコトが多い。
バッグは、どんなトコロへ出掛けるにしても女性の場合は必須。
美術館に出掛ける時のバッグとチョット郊外に紅葉や桜を見に出かける時とでは、服もバッグも違うモノを選ぶのが、普通だろう。
もっと言うなら、食事に出掛けるだけでも、行く場所+会う相手によって、すべて変わってくる。

しかし、最近のファストファッションの台頭?で、ファッションそのものに「個性」がなくなりつつあるのだ。
例えば、この秋流行している「フレアースカート(「サーキュラースカート」と言う場合もあり)」。
ハイウエストで、フレアータップリというデザインばかり。
50代の半ばにもなれば、流石にハイウエストは(お腹周りが)厳しい。
何より、スカート丈が短い。
ファストファッションのお店だけではなく、いろいろなお店を廻ってみても大体のスカート丈は50㎝~55㎝。
膝が隠れるか、隠れないかという微妙な丈。
20代の若い女性なら、膝が見えても可愛らしいと思うのだが・・・やはり年齢には抗えない。

ならば、そのくらいの年齢の女性を対象にしたショップに行けば!と思われるかも知れないが、「おばさん体型をカバーする為」に要らぬデザインとなっている場合が多いのだ。
当然、色も!
50代女性向けのファッション雑誌などが、ここ数年創刊され話題になっているのに実際には、その様な世代の女性が気軽に手に取れるファッションは、ほとんど見かけ無い。

街中のお店を覗いてみても、街中には沢山の人がいるのにお店で買い物をしている人は、本当に少ない。
「アベノミクス」で景気が良くなっている!と、安倍さんは胸を張るかも知れないが現実はほど遠い感がある。
では、何故「欲しいモノが無い」という状態になるのか?と考えると、「商品の回転の早さ」を考えるからかも知れない。
ファストファッションであれば、その時時の流行がセールスポイントになってくる。
しかし、その様な商品はよくよく見ると縫製が雑であったりして、本当にワンシーズンのファッションなのだ。
「ワンシーズンファッション」で経済が廻るのか?というと、甚だ疑問になる。
そしてファッション産業だけではなく、様々な企業が「ワンシーズン」でモノごとを捉えている様になってきているのでは?という、気がしてきたのだ。

その様な「ワンシーズン思考」は、高度成長期にはフィットしていたかも知れないが、今のように「成熟した社会」には似つかわしいとは思えない。
経済そのものの考えだけではなく、もう少し長期的で複眼的な見方をしないと、本当に「欲しいものがない」と生活者が感じていることを見逃してしまうのではないだろうか?