日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「お米」は、嗜好品になりつつある?

2014-09-15 20:55:28 | ビジネス

いろいろなトコロで「今年の米価は、下がる」と言われているようだ。
国内でお米を中心に取引情報を扱っている「日本農産情報」という会社のWEB頁を見ると、「最安値をキープ」という文字が目に飛び込んでくる。
日本農産情報トップページ

「米価が値下がっている」と言うことなのだが、実際スーパーなどの店頭に並ぶお米の価格をみていると、余り実感がない。
背景には「農協」という存在が大きいのでは?と言う気がしているのだが、その「農協」そのものの解体論などが出はじめている。
そんな中、日経BPが出版している「おとなのOFF」という雑誌で、「お米の特集」を組んでいた。
おとなのOFF: 「あなたが知らない本当に美味しい米」

取り上げられているお米は、聞き馴染みのない名前のお米があったりして、なかなか興味深い内容だった。
そして「今やお米は、嗜好品」になりつつあるのでは?と言う気がしてきた。
と言うのも、ここ数年で様々なタイプのお米が流通する様になってきたからだ。
一昔前のように「新潟県魚沼産コシヒカリ=美味しいお米」というのではなく、「お料理に合わせてお米も選ぶ」とか「季節に合わせて、夏は食欲が落ちるのでサッパリ系、新米が美味しいシーズンはもっちり系」などと、季節やお料理に合わせてお米を選ぶことが、お米を美味しく頂く方法なのでは?と言う気がしたからだ。

育ち盛りのお子さんがいらっしゃるご家庭なら、1ヶ月のお米の消費量はそれなりの量を消費するだろう。
しかし、今の人口構成や世帯構成を考えると、1ヶ月10㎏程度かも知れない。
「お米離れが進んでいる」と、単純に考えるよりも「消費する人そのものが減っている」と考えた方が、良いと思う。
もちろん、今の日本の食事事情を考えると「主食=米」ではなく「主食=お米時々パンやパスタなどの麺類」だと考える方が自然だと思う。が、「消費する人が減っている」のであれば、その「消費する人」の生活スタイルにあわせた「提案」が必要なのではないだろうか?
それが「お米の嗜好品化」と言うことなのだ。

実際、アイリスオーヤマでは「小分けのお米」で販売をし、人気になっている。
精米したお米が劣化する前に、美味しく頂けるだけの量をパックしてあるのが、人気の秘密だ。
そう考えると「家庭用お米貯蔵庫」という、新しい白物家電として登場するかも知れない。
当然「美味しいお米を食べる為に」お米マイスターがいる様なお米屋さんで、自分の好みを相談しながら、お米を少量づつ購入する、と言う人もでてくるだろう。
そうなってくるとお米屋さんの仕事は、「米農家さんと生活者を結び付ける」ということになるかも知れない。
当然、今までの様な「農協」の仕事では、生活者の期待に応えられなくなってしまうだろう。

米価が下がる=農家の危機ではなく、ビジネスのスタイルを大きく変える切っ掛けとなるかも知れない。
そのキーワードが、「お米は嗜好品」という発想なのだと思う。