日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

古い商品を新しくする

2014-08-11 21:15:28 | マーケティング

台風の11号は、全国各地に大きな被害をもたらして去って行った。
台風一過となった今日は、再び夏の暑い日となった。
暑くなると欲しくなるモノがある。
左党の方は「ビール」というコトになるかも知れないが、諸般の事情でアルコールはドクターストップのため、もっぱら「氷菓子」になる。

今日、買い物に出掛けた時スーパーのアイスクリーム売り場に、懐かしいパッケージのアイスクリーム(正しくは「ラクトアイス」だが)があった。
懐かしいパッケージと言っても、その商品そのものは「新商品」。
今まで慣れ親しんできた商品を「ラクトアイス」として、売り出したのだ。

その「慣れ親しんできた商品」というのは、「甘酒」。
以前から、フリーズドドライの甘酒などを販売していた森永製菓の新製品として、夏向け商品としてこの夏から発売した商品のようだ。
この「甘酒アイス」が登場ずるまでの経過を見てみると、生活者の生活志向の変化の様なモノを感じる。

俳句では「甘酒」が夏の季語というコトは、余り知られていないのかも知れない。
江戸時代の頃は、夏になると「甘酒売り」が登場しよく売れた、と言う。
それほど夏バテには、効果があるのが「甘酒」だったのだが、今の私達にとって「甘酒」は冬の飲み物というイメージが強い。
おそらく、初詣で境内で振る舞われる「甘酒」のイメージがあるからなのだろう。
そんな冬のイメージを変えたのが、ここ数年続く猛暑と「節電」という気がする。
と言うのも「熱中症対策」として、これまで上げられていた「スポーツドリンク」だが、大量摂取をすると体に良くない、と言うことが言われる様になってきた。
そこにテレビの情報番組などで紹介され、話題になっただけではなく、その前にあった「塩麹ブーム」もあり「味噌や醤油、お酒以外の麹調味料」が体によい、と言う認識が広まっていたコトも、「甘酒」という古い商品を今によみがえらせるコトが出来たと思う。

ただ、そんな話題を上手につかみ、じわじわと「夏の甘酒」という市場を作ってきた様な気がする。
もちろん森永だけではなく、麹を扱う企業なども「夏の甘酒=夏バテ防止、健康飲料」というPRをしてきた。
ただ「飲料」は手軽である反面、「冷たさ」を求めるには、やや弱い。
それだけでは無く、クックパッドなどでは「甘酒のアイス」などのレシピも掲載されている。
実際、私も作ったことがあるのだが、意外なほど簡単に作れる。
だからと言って、多くの人が積極的に「甘酒アイス」を作る訳ではない。
やはり手軽さや便利さと言う点では、スーパーやコンビニで買う方に軍配が上がるだろう。
何より、これまで「甘酒」に手を出しにくかった男性なども購入の対象となる。
その意味では「甘酒市場の拡大」がし易い商品、とも言える。

ちなみに食べた感想だが・・・当たり前だが「甘酒のアイス」だった。
「甘酒」独特の味と香りが苦手な方には、抵抗感のある商品だと思う。
そして、わずかながらアルコールが含まれている点で、お子さん向きだろうか?と・・・改善の余地はあるかも知れない。

お知らせ:明日12日からお盆休みのため帰省いたします。
      その間、拙ブログのエントリができないと思われます。
みなさま、良いお盆休みをお過ごし下さい。