昨日、実家から戻ってきた。
今年のお盆は、連日の雨降りでお墓参りや仏様の迎えも送りも、雨の中。
何より、この春父が自動車免許を返納した為、公共交通機関を使っての連日の移動。
タイムスケジュールを合わせる事前リサーチも大変だったが、大雨による電車の遅れが手痛いお盆だった。
そんなお盆だったのだが、お土産を買いに松江までJRを使って出掛けた。
地元は米子なのだが、「お土産」となるとどうしても松江まで出掛けてしまう。
理由は、和菓子・洋菓子の種類が豊富だからだ。
ご存じの方もいらっしゃると思うのだが、松江は茶事が盛んな地域。
その為、お菓子そのものも独特の発展をしてきた地域でもある。
そんなお菓子をいつもお土産として買って帰るのが、私の帰省の楽しみでもある。
ところが、いつも行く和菓子屋さんがお休み。
仕方無く、JR松江駅でお土産用のお菓子を買うことにしたのだが、私が知っている駅中のお菓子の売店ではなく、随分モダンで洗練された売店になっていて驚いた。
その中で一際目を惹いたのが、「生姜のコンフィチュール」。
値段をみると、1,300円もする。
「コンフィチュール」と言うと、なんだかおしゃれな感じがするが、言うなれば「生姜のジャム」。
「生姜のジャムに1,300円」出すのか?と考えると、やはり高い気がする。
しかし、そこにいろいろな物語が加わると、「なるほど・・・」と納得ができる。
私がこのジャムを買った大きな理由は、その「生姜」にある。
「出西生姜(しゅっさいしょうが)」と呼ばれる、「生姜」を使っていたからだ。
「出西生姜」というのは、出雲地方の中でも「出西(しゅっさい)」と呼ばれる狭い地区で生産されている生姜で、爽やかな辛みと香り、繊維の少なさが特徴の生姜。
そして「出西生姜」の株を、隣の地区で栽培しても同じ生姜ができない。
本当に狭い地区でしか栽培できない「生姜」なのだ。
とは言うものの、その様なことを知っている人は地元の人くらいで、ほとんど知られていないのが現状だろう。
父から「出西生姜」について、いろいろ話を聞いていた私は「美味しさだけではなく、珍しさや貴重性もあるのだから、この価格は当然だろうな~」と思い、購入したのだった。
おそらく、この「生姜ジャム」のように、その商品にまつわる話がキチンと伝えられ、その価値に納得することが出来れば、この1,300円という価格は、決して高いモノではないとおもう。
ただ、残念なことにこの様な「物語」が発信できていないと、その価値に納得できる人は少ないはずだ。
バブルの頃、「商品に物語性を加える」ということが盛んに言われた記憶がある。
バブル崩壊後は、その様な話が聞かれなくなってしまったが、地域の手間暇かけた農産物の加工品を販売するには、「新鮮・おいしい」だけではなく、この様な物語性もまた重要なポイントなのだ。