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タワーレコードを子会社化するdocomoの戦略は大丈夫だろうか?

2012-06-11 19:52:02 | ビジネス
一部新聞社のWEBサイトに、「docomoがタワーレコードを子会社化する」と報じられている。
NTTドコモニュースリリース「タワーレコード株式会社の子会社化について」(注意*pdfファイル)
ニュースリリースなどを読むと、「コマース事業の拡大・拡充」が目的の様だ。

このニュースリリースを読む限り、納得できる理由だと思う。
以前発表された「らでぃっしゅぼーや」の子会社化と違い、突飛な感じはしない。
「コマース事業」となれば、おそらくその中心は「お財布ケータイ」なのでは?と想像が付く。
タワーレコードそのものが数多くの会員を持っているので、それだけで大きな顧客を獲得するコトができるだろう。
その意図は十分分かるのだが、何故今なのだろう?と言う疑問がある。
と言うのは、タワーレコードのライバル会社であるHMVが次々と閉店を迫られている、と言う現実があるからだ。

HMVが次々と閉店に追い込まれている理由の一つは、ご存じの通りCDの売り上げよりもネットによる音楽配信が主流になりつつある、と言うコトがある。
事実、先日行われたAKB総選挙の様な投票権のオマケとしてならCDが売れるのかも知れないが、ここ数年ミリオンセラーと呼ばれるセール記録となるCDは数少ない。
固定的でコアなファンがいるミスチルなどは、大ヒットCDを出してはいるが、CD全体の売り上げは減ってきているはずだ。
日本レコード協会
「CD生産数量推移」
「2011年有料音楽配信売り上げ」

それに対してインターネットなどを利用した有料音楽配信の売り上げは、順調に推移している。
CDが生産数量に対して、音楽配信が売り上げとなっているので単純比較はできないが、それでも今や音楽を聴く為にはCDを購入するのでは無く、ダウンロードをして購入する、と言う人のほうが多くなってきている、と考える方が自然だと思う。
とすれば、タワーレコードの様にCDを扱っている「CDショップ」は、ますます厳しい状況になっていくのでは?と、想像ができる。
例えDVDを扱っていたとしても、今の店頭扱いの中心ソフトはCDのはずだ。
そして将来的にはDVDも、CD同様有料配信化が普通になってくる可能性はあると思う。
実際、一部のTUTAYAなどでは「有料画像配信」をしている。

もちろん、タワーレコード自体CDだけを扱っている訳ではないし、元々タワーレコードは輸入レコード専門店だった。
そのことを考えれば、国内アーティストのCDの売り上げが伸び悩んでも、海外アーティストのCDでカバーするコトができるだろう。
有料画像配信が一般化しても、日本でDVD化されていない海外の映画のDVDの販売、と言うコトもあるだろう。
だが、その規模はdocomoが思っている程ではないのでは?

今後、タワーレコードが有料音楽配信サイトや画像配信サイトを展開して行くのであれば、何となく分かるのだが、今の形態でのCDやDVDの販売中心であれば「コマース事業」と言っても思惑違いの結果となるのでは?