恩師のご著書「講演集」より
講演集、 二
「仕事」の本来の意義
人々の為にと言えば語弊があります。
漢字で「為」と書き、人の為と書くと「偽」となってしまいますから、
人の為ではない、我が為だと思って、人の為に尽くすことです。
尽くさせていただくのですね。
これは全部自分に返るのですから。
今、この方の為と思ってします。
その方が喜んでくれたら、その方から自分のほうに喜びが返ってきます。
家庭の中では夫婦の間、親子の間で、
或いは親しい方たちの間で尽くさせていただくのです。
「そんなに人の為ばかりを言っていたら、
このせちがらい世の中に取り残されて死んでしまいますよ」と
言って笑う人がありますが、
しかしそんなことはありません。
仕事一つするにしても、「しっかり儲けて家を建てなくてはいけない」
「しっかり儲けてどこそこへ行かなくては」「車を買わなくては」と、
目的をいっぱい持っていますが、仕事の本当の意味は、
私たちが与えていただいた家であれ、
着る物であれ、頂く食べ物であれ、
すべては人さまの働いて下さった労働力を私たちは頂いております。
皆様が働いて下さって、それによって今、
自分が生きさせてもらっているのですから、
せめて自分のこの身を使って、そのご恩返しをしなくてはいけません。
そのご恩返しが即、仕事です。
仕事を通して、与えていただいた報恩の行為をさせてもらうのです。
それが仕事の意義です。