恩師のご著書「講演集」より
講演集、 二
尽くせば相手も自分も救われる―――お年寄りへの愛
先の続き・・・
「私はこうしてあんたがあの世に行くのをちゃんと見送るから安心しなはれ、
何も恐いことはない。
この世は自分の魂の修行をさせてもらう仮の宿であり、
私たちはあの世へ帰った時、ほんとうのふるさとに帰ることができるのや。
ふるさと、ほんとうの家に帰るのだから恐いことはない。
この世の一切の思いを離しなはれ。
誰に対しても思いを持ってはいけない。
そして、この世に生きさせてもらった間のことをよくふり返ってみなはれ」
と言っておりますと、頷いて握っていた私の耳を離してくれました。
息が止まる前に、「いよいよこの世にさようならをしなくてはいけないのやでー」
と、まあ、おじいちゃんに話すのですから、それぐらいしか話せないのですけど、
幸いおじいちゃんはもう家族のことはみな忘れてしまって誰のことも分からないから、
「あの世にちゃんと帰るまで見ててあげるから安心して行きなはれ」
と言って話させていただき、家に戻りました。
すると一時間くらいして、今亡くなりましたと知らせがありました。
死にかけた人が今生の力をふりしぼって愛を求めたのです。
あの世に帰る方法を伝えさせてもらって、「分かったかー」と言いますと、
「おおきに」と言われましたね。
この体験をさせてもらったことで、現在老人の呆け問題がやかましく言われておりますけど、
そういう呆けたお方でも、世話する人がほんとうに心からお世話なさった場合には、
治る可能性が高いということを教えていただきました。
~ 感謝・合掌 ~