弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

不当分限「一連」として 足し合わせたら なぜ「罷免」?

2024年05月22日 22時43分51秒 | 「喝!」判決

最後にもちろん裁判官弾劾裁判所の岡口裁判官罷免判決に「喝!」だ。
最高裁による2回の分限裁判の戒告処分をも疑問視するような判断を重ねながら、他の雑多かつ些細な表現行為を無理矢理「一連」とした上、なぜ罷免という結論になるのだろうか。
裁判所の判決であれば「理由齟齬(そご)」(理由の食い違い)という非難を免れないだろう。

もっとも、私も大阪高裁で担当した主任事件で、最高裁に判決を破棄された苦い経験がある。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89559
定年間際の教育公務員の戒告相当程度の3件の合わせ技で、懲戒免職に次いで重い「停職6月」とした懲戒処分を、私たちは重すぎて無効と判断したが、最高裁はあたかも当然のように裁量権の範囲として有効とした。
私に言わせれば、
1+1+1=60
というに等しいアンバランスな結論だ。最高裁判決の理由の最後の方に「個々の加重事由の考慮方法が形式的に過ぎるなど、直ちに首肯し難い点もあるものの」というくだりがあるように、合議ではさすがに疑問とする意見もあったのだろう。それでも、最高裁の厳罰主義ここに極まれりという印象を免れなかった。

民事・刑事の行き過ぎた厳罰主義に典型的に見られるように、世の中から冷静さが失われているのがとても心配だ。