きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

「地王」と言うはやり言葉

2013-09-28 10:43:59 | Weblog
「地王」と言うはやり言葉       (2013-09.28.)

中国の不動産市場では、今「地王」と言う“新造語”が流行っている。国有地使用権譲渡の入札で競争相手を圧倒する大金を出し、意中の土地を手に入れた開発業者の事である。
今月初旬から各地で破天荒な「地王」が続々と出現した事が大きな話題を呼んでいる。

まずは、4日、北京市内の農業展覧館の敷地2.82ヘクタールの土地が21億元(約336億円)で取得された。1平方メートル当たりの単価で7.3万元(約117万円)である。中国で国有地譲渡が始まって最高の単価である。

翌5日、上海、杭州、蘇州の3つの大都市でも「地王」が現れた。上海市内の徐家匯界隈(かいわい)、杭州市内の華家池界隈、蘇州市内の金鶏湖界隈にある3つの1等地が夫々217億元、136億元、47億元で落札されたと言う。

この様に、狂気とも思われる様な「地王」がなぜ続出するのか。今の「地王現象」は地方政府と不動産業者との共謀の産物であると言われている。

全国地方政府の負債総額は20兆元にも達している中、返済に迫られた各地方政府は、巨額な土地譲渡金を獲得しようとしている。一方、業者たちは、「地王現象」を華やかに演出する事で、「今買わなかったら後になって不動産価格がさらにあがるぞ」との空気を煽り、一般の人々に物件購入を急がせようと企んでいるのである。

つまり、業者たちは乾坤一擲の販売促進のため、あえて「地王」となったわけだが、その大いなる賭けを支えて居るのは、一般消費者が今後、より高い価格で不動産を大量に買ってくれると言う期待で有る。しかしそこには、大変危険な落とし穴があると言う事である。

丁度、「地王現象」が話題を呼んでいるこの9月、全国の商業銀行による住宅ローン業務停止の動きが急速に拡大している。

「地王」が巨額の資金を投じて土地を購入すれば、何れは高値で売らねばならない、そこへ持って来て、銀行の住宅ローン停止が続けば、一体誰が買うのか、被害を蒙るのは騙された「一般消費者」と言う事になれば、大きな社会問題になる事は避けられない、もはや破滅的な結末しか考えられない状態に来ているようである。

習近平指導部は、この中国経済の行方をどの様に主導するのか、世界が注目する所である。
(えびなたろう)