きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

電力会社の地域支配体質

2011-07-07 10:59:23 | Weblog
電力会社の地域支配体質       (2011.07.07.)

九州電力で、玄海原子力発電所の2・3号機再稼働の是非を問う為にケーブルテレビの県民向け番組に「再稼働を支持する電子メール」の投稿を、九州電力の真部俊応社長自らが社員に命じて、下請け各社に発信するよう指示していたことが分かった。
将に、原発賛成に向けた「やらせメール」である。

電力会社の、公共性を傘に、其の上、原発推進の潤沢な資金力を利用した権力行動が一般国民から不満の声が聴かれる中で、またまた、県民の意向を社長の「やらせメール」で捻じ曲げようとする行動は、許すことは出来ません。

この賛否を問う調査は、経済産業省がやる番組で、九電もグルになって行ったのでは無いかと推測される。海江田万里経産相は「九電がやっているなら非常にけしからん。しかるべき処置をする」と発言をしているが、真相は計り知れない。

福島原発事故以来、電力会社に対する国の対応は、国民に対して、明快な対応と思えない事が多い。その一つに「原子力損害賠償支援機構法案」と言うのが有る。全国9電力会社が支払う負担金を基に機構を創り、東電への資金交付や社債・株式の引き受けを通じ、巨額の賠償負担を背負う東電の資金繰りを支える、という物である。

これに対して、週刊ポストで大前研一氏は、この法案は看過出来ない問題がある。と指摘している。
それは、機構の資金としていつでも換金できる国の国債を「公的資金」として投入し、機構はそれを基に「政府保証付き」の「機構債」を発行し資金調達出来る仕組みである。大義名分は「避難住民や農魚業者に対する賠償」と言う事で、閣議決定もされている。
大前氏は、「本来なら一旦つぶすべき東電を税金で丸ごと延命させる ”いかさま”のスキームである」とし、この法案は“東電救済法案”に他ならないと言っている。

そして、この法案によって9電力による地域別独占体制を維持したいと言う思惑が見え見えである。通産省も多くの天下りを抱えて貰っている電力業界、また当時の政権与党である自民党も利権の温存を図る狙いが滲んでいる法案でもある。

この法案によって国民の負担は際限なく膨らむことになるのは、機構が東電に資金を貸し付ける形を取っているが、実際は銀行が貸し付け、それを政府が保証する事になり、銀行は求められるままに貸し出す事になるからである。結局は国民の税金が節操なく投入される事になるのである。
(えびなたろう)