きまぐれ発言

日々変化する世の中をみて、私はこう思う。

原子力の平和利用とは

2011-04-09 10:11:52 | Weblog
原子力の平和利用とは      (2011.04.09.)

原子力は、核分裂によって生まれる膨大なエネルギーの発生を、我々の生活に取り入れようとするもので、将に人類の科学の発展がもたらす恩恵と言うべきものである。

しかしながら、其れが及ぼすマイナス面もまた、膨大な物がある。一つ間違えば人類の未来に壊滅的なダメージをもたらす事に繋がっている。

従って、いざと言う時には、この事態に対する安全対策が完璧でないかぎり受け入れる事は出来ないのが普通の考え方であるが。其れがまだ、不明確でありながら、進めて良いものか、留まるべきかが論議を呼び、原子力に対する推進派と慎重派の二つに分けられている事が、ここへ来て鮮明に表面に出てきた。

昨日書いたトリウム原子炉問題で、早くからアメリカでの研究開発が行われて来たが、途中でストップしている。その理由が、アメリカにおける大きな政治の圧力がトリュウム原子炉論議を封鎖していると言う事である。

その一例は、トリューム原子炉の第一人者として、オークリッジ国立研究所の物理学者ワインバーグ氏が、当時のニクソン大統領によって、解雇されトリュウム原子炉の研究を封印されている。その当時米ゼネラル・エレクトリック(GM)社長の証言では、「プルトニュームが出ない原子燃料は困る、燃料棒の取替えで儲ける仕組みが無くなりうまみがない」と述べている。

また、ブッシュ大統領時代に、「原子力ルネッサンス」を打ち出し、増える核廃棄物のためにネバダ州に核廃棄物の貯蔵場の建設を計画していたが、オバマ大統領はその計画を中止し、その一方で原子力発電所の建設を助成すること事を決め、トリュウム原子炉の採用を考えているのか、と思いきや、一言もトリュウムに言及しない。共和党に対する政治的配慮であろうと思われる行動である。

燃料エネルギー問題は、将来に向けて、化石燃料が地球環境に与える影響を考えると原子力は有効な手段で、中でも、トリュウム原子炉は、溶融塩を作成し、液相状態で核分裂反応を起こさせるもので、原子炉事故の多くが、化学的、物理化学的不安定さに起因する事が多いのであるが、溶融塩は組成を調整すれば、物理化学的に非常に安定な組成物とすることができると言われている。

日本でも、トリウム溶融塩国際フォーラムの古川和男先生が「環境と核拡散対策は、新原理の安全原発で!」と言う論文を2005年に出しておられる。

原子力の平和利用ということは、先ず安全性確保が第一で、不安定な固形ウランを使った原子炉では、平和利用に逆行するものであると思います。
(えびなたろう)