きまぐれ発言

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労働白書が語るもの

2008-07-23 11:22:17 | Weblog
労働白書が語るもの      (008.07.23.)

厚生労働省の2008年の労働経済白書が発表された。その中で、労働者の意識と仕事に対する満足度の調査さが4項目で調査されている。
「雇用の安定」、「仕事のやりがい」「休暇のとりやすいさ」「収入の増加」夫々の結果は全てに悪化の一途を辿っている。

従って総合的な見解として「仕事の満足度は」低下している。そして正規社員が少なく非正規社員が多くなっていると言う事は、企業が人件費の抑制のために正規の社員の採用を抑え、就労に対する融通の利く何時でもクビが切れる非正規社員で賄えるところは出来るだけ賄って行こうとしているからである。

従って労働者の未来に正規の社員になれる夢もなく、仕事に対するスキルアップのチャンスも与えられないから、「仕事のやりがい」と言う意欲もうすれ、何時クビを切られるかと言う不安な気持でいるから「雇用の安定」度も低下するのも当然である。

その代表的な物が、「派遣社員」であり、派遣社員の動向そのものが白書の内容を示しているといっても良い。

「派遣社員は」当初、特殊技能を有する専門技術者だけが対象で、労働者派遣法によって、派遣期間が1年以上になる場合は正規雇用をするよう規定されていたので、それなりの労働者の保護の法律もあって守られていた。

しかし、この法律が改正されて、対象職種も拡大され、原則自由化されたことから増大の一途を辿り、さらに2004年には法改正で、1年以上に及ぶ者は正社員にする規制が3年に延期される事に改悪されてしまったのである。

「派遣労働者」とは、もはや「日雇い労働者」と同じで、労働賃金のピンハネを目的にした、労働派遣会社が、更に別の派遣会社に派遣をすると言う、所謂「二重派遣」を行なう事で、利益を上げる会社も出現し、一種の人身売買の様な事が平気で行なわれる様になったのです。

学校を卒業して、初めて社会に飛び出し、「就職」と言う人生のスタートの喜びは未来に夢があり、希望があったものです。

また。労働基準法により、労働者の保護に国が(労働省が)守っていたのであるが、この「派遣労働者」の制度は、時代に逆行する、制度で、一方的な、企業側の人件費抑制の為に作られた物で、若者の、夢も希望も無くす、制度だと言わざるを得ません。

最近、若者による不安定な精神状態から無差別殺人等の犯罪が世間を騒がしているのも社会の制度に明るい希望がないからだと思います。

厚生労働省は、今回の白書の結果を重大問題と受け止め、人身売買に至るような制度は即刻廃止し、若者に夢のある職業を与える事を、制度として取り入れる様、是非行なってもらいたいと思います。
(えびなたろう)