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日々のあれこれ

現在は仕事に関わること以外の日々の「あれこれ」を綴っております♪
ここ数年は 主に楽器演奏🎹🎻🎸と読書📚

社員不在の朝

2009-08-23 00:13:40 | とある街のとあるスーパー

日曜日の朝。

社員は、酒担当の川石さんを除き、お休み。

南副店長だけ、午後出勤だが、早番8時出勤の私達は 今日、顔を合わすことはない。

店長、副店長、チーフの三人そろい組不在の朝は、お気楽なような、寂しいような・・・。

心中、複雑である。

いつもなら、オープン前でもユーセンが流れているが、何故か、今朝はミュージックすらない。

店内、シーンと静まりかえり、ガサガサ、シャカシャカ、ドズン!!などと、作業をする音だけが、聞こえてくる。

オープン前に愉快な店内放送をする西村チーフも居なければ、

 「この曲、歌ってるの誰だか分かる?」

と、クイズを出す南副店長も居ない。

ハマグリ君は納豆を

カトちゃんはパンを

花岡さんは竹輪や かまぼこを

岸辺さんはチーズとデザートを

矢木さんは牛乳を

そして私はジュースとヨーグルトを 皆、無言で出していた・・・。

「今朝は音楽すらないですね

私が そういうと、矢木さんは コクンと頷いた。

「うん、なんか暗いね、今日は・・・。朝が早いし、眠気が襲ってくるよ

バックへ戻った矢木さんは、ドアから店長室を覗き込んだ。

「確かね、ここら辺よ、音楽。ねえ、カト君?」

すると、カトちゃんと、ハマグリ君が二人で店長室に入り、操作を始めた。

頼れる社員不在の今朝、二人共、初の試みである

・・・と、ここまでは、良かったのだが・・・。

なんと、まだ、開店5分前だというのに、

チャン、チャララン・・・」

という「只今より、開店致します!」の音楽が流れ始めた・・・

 「ち・・・違うよ!これ これは、オープニングの曲」 

店長室からは、カトちゃんの焦った声が聞こえてきた。

珍しい。

カトちゃんが落ちつきを無くすなんて。

そして・・・聞こえてきたのは、ユーセンに変わって一週間前から流れているクリスマスソングだった。

店長室から出てきたハマグリ君とカトちゃんは、急に、げんなりと痩せたように見えた。

「万が一、音楽が かからない時は、あんた達二人で、カラオケでもしなきゃいけんね~って言ってたとこよ」

と、矢木さん。

「俺、カラオケ駄目っすよ。歌えないっす」

と、ハマグリ君。

「嘘ばっかり。相当、歌い慣れてるくせに」

と、矢木さん。

すると、数日前まで風邪で体調が悪かったカトちゃんが、

「僕、ほんの2時間前まで、カラオケコロッケに居ましたよ!」

 私と矢木さん、ほぼ同時に

「エエーッ

と、叫んだ。

2時間前って、6時まで

「あんた、病み上がりやろ? ところで、どんな曲、歌うの?」

矢木さんったら、カトちゃんの体調を心配しながらも、興味の対象は、すでに曲目へと移行している。

「何でも歌います。演歌でも」

「たとえば、氷川きよし・・とか?」

「はい、北島三郎とかも」

「さっ・・・サブちゃん (*注意 目が輝く矢木さん)じゃ、風雪流れ旅とか? やっぱ、紙吹雪とか、するわけ?」

これ以上、話についていけない。

「俺、与作しか、知らん

ポツリと、ハマグリ君が呟いた。

その一方で、矢木さんはカトちゃんと最高潮に盛り上がっていた・・・。

カトちゃんとの会話が一段落すると、矢木さんは私に囁いた。

 「ねえ、鈴木さん。カト君に ちょんまげのカツラをつけてサブちゃんを歌わせたら、似合うと思わない?」

カトちゃんに、ちょんまげのカツラ・・・

19歳で、すでに、おっちゃんの雰囲気も合わせ持つカトちゃんなら・・・。

にっ・・・似合う  似合いすぎる

「そ・・・想像したら、笑えるう~っ

私と矢木さんは共に想像力が豊かなのである。

場所も忘れて大笑いした。

「ねえ、ねえ、年末のカラオケかなんかで、グロッサリーの男の子達、全員、女装させたいよね。 川石さんが一番、似合わんよ、絶対」

と、矢木さん。

自分の名前が聞こえたのか、まじめでお堅いイメージのおじさま、川石さんが「ん」と、一瞬、こちらを振り向いたことに、矢木さんは気付いていない。

「南副店長が、絶対、一番、女装が似合うよ あの、可愛らしい顔立ちといい・・・。化粧して、ドレス着せたら・・・」

ここで、私と矢木さんは、共に、空想の世界へ入った。

「・・・・

(*注 僕ちゃん、副店長・・・これが、こう・・・)

私と矢木さん、同時に

「ぶっはははあ~

「お・・・おなか痛い」

「笑いすぎて、涙が出てきた!」

南副店長、今頃、耳がカユイって。

明日からまじめに仕事します!

 
  By すず日記@BlogRanking
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じ~っ!

2009-08-23 00:12:22 | とある街のとあるスーパー
 
 
 
 
 

社員不在の日曜日の朝から一夜明けた今日、月曜日... 南副店長にバッタリ会った。

「あっ、おはようございます」

「おはようございます

副店長の顔を見たとたん、前日の矢木さんとの会話が鮮やかに よみがえった。

(矢木さん曰く、女装が似合うよ・・・

よりによって、彼はヘアスタイルを変えていた。

髪を切ったようである。

ここで、彼の顔を見るなり笑ったりしたら、 髪型が変だから笑ったのだと、誤解される事、間違いなし。

私は、挨拶だけして、事なきを得た。

ほっ

次に南副店長とすれ違ったのは、調味の荷出しをしている時だった。

彼は、お米の台車を引っ張り、私の真横を横切った。

「ちょっと、いいですか」

そう、言いながら、重い台車を引っ張って通り過ぎる間の

た~っぷりの時間を最大限に活用し、 私は頭の中で、シミュレーションをしてみた。

副店長にロングヘアのカツラを・・・メーテル風に、金髪がいいかな? それとも、香取慎吾君のように「ニワさん・・」とか?)

 

一時間後にすれ違った時、私は発注中だった。

そこへ、南副店長が台車を引いて、私が居る通路へ曲がってきた。

私は、思わず、発注していた手を休め、じ~っと副店長の顔を見た。

(マツケンサンバのカツラとか、いいかもねえ

私がそう思った瞬間、副店長は、急に、方向転換し、回れ右して別の通路へ行ってしまった。

 

勤務時間終了間近か。

私は一番下段の棚に小麦粉を一生懸命補充していた。

結構、夢中で・・・。

ふと、後ろで人の気配を感じた私は、振り返った。

すると、ぎくっとした表情の南副店長が、

そお~っと通り過ぎようとしている最中だった。

まるで、私に気付かれぬよう、最大限の努力をしているかのように・・・

私に気付かれ、焦っているように見えた。

「すみません・・・後ろ、通ります・・・」

「はい、どうぞ

(岸辺さんも、南副店長は、餅肌だから、女装が似合うといっていたっけ。う~ん、 )

結局、今日は、副店長の顔を見るたびに、 女方副店長のシミュレーションを頭の中でしていた私・・・。

思えば、こんなに南副店長の顔をじ~っと見つめるのは今回が初めてだ。

「いったい、どうしたんだ。 何か、俺の顔についているのか

と、思ったでしょうね。

 
 
2006年11月初登場記事の「社員不在の朝」 「じ~っ」 の2本立てです。その後、2008年に、こちらのブログでも紹介したので、今回は3度目の登場ってことに・・・。 書籍化された本に使われた二つのシーンです。こちらが本のオリジナル。 編集されると、本のような ちょっと固めの文章になりました。 記事中のコメントは2008年の記事アップに寄せられたものをそのままリンクしてあります。
 
本は三人称に書き換えられていますが、個人的には これは一人称でしょう~と思っています。どの場面でも主人公の鈴木すず子が登場しているわけだから、あまりというか、全く三人称でなければならない理由もないですし・・・。この一年、同じ場面を一人称、三人称、主人公を変えて別の目線で・・・と色々試して書いてみて、楽しみつつ、お勉強です 先月末締め切りのコスモス文学新人賞には応募しませんでした。他の新人賞は入選すれば原稿料が入りますが、著作権の問題があるので・・・。とあるスーパー以外に書き溜めたものが増えてきたので、さて、今後、どうしよう・・・と悩んでいる素人すず、でした。
 
日記@BlogRanking すず
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