二人の会話をたまたま聞いてしまった俺は、何となく うきうきしていた♪
バックヤードへ下がると、他の部門のスタッフが俺に試食品を差し出し、味見をしてくれという。
覗き込むと、なんだかオカシナ色をしている。これは、一体、どういう飲み物なのか?
味見ではなく、毒見ではないのかっ!? と内心思ったが、ぐいっと飲み干した。
あーーーーーっ!
マズイ!
青汁の味がするぜっ!
あ、青汁だった・・・・。
俺は振り返りざま、思わす、オエーっとなったが、俺の真後ろに同じく商品を出し終えてバックへ下がってきた
末永さんと
鈴木すず子が居た!
しかも、二人と目があったので、反射的に幼子のように振舞った。すなわち、ぺろっと舌を出し、あっかん
ベーである。(ただし、ちょっと可愛くネ)
それから更に30分が経過し・・・・。
末永さんとすず子が勤務表の時間を記入している、その二人の背中に向かって、俺は元気よく、
「お疲れさま~!」
と、笑顔で声を掛けた。
「お疲れ様です、副店長」という答えを俺は、当然期待した。なんと言っても、上司の俺の方から声をかけているのだ。しかし、、、、、
振り返ったすず子は・・・ 「」
無言。。。
しかもぉ・・・・。
俺の目には、能面のように見えた。
何だか、真夏のお化け屋敷にでもいそうな、
人達のオーラを一瞬感じたのは俺の気のせいか?
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やはり・・・この夏、一番 お勧めの本、不思議な夏10物語 (ご購入は上記をクリックして下さい)を昨夜、読んだからであろうか。
ちょっとヒヤッとしつつ、読み進められる本であった。体感温度を下げるには、丁度良いだろう。
すず子は俺の顔を見て、ポカン! としてはいた。
しかし、問題なのは、ひとことも返事が無かったことだ。
ついさっきまで、末永さんと鈴木すず子の二人は
俺の笑顔について、
笑顔で語っていたではないか・・・・。
何故、何も言わないのか?
俺は、そのまま返事を待たずにプラットホームへの扉を開いた・・・。
その頃、末永さんとすずの間では・・・。
「あっ! しまった! 今、副店長がお疲れ様っていいましたよね? 私、余りの笑顔に呆気に取られて
返事をするのを忘れてたわぁ。ちょっと行ってきます」
「いいよ、いいよ! 行こ行こ!」
・・・・と言うわけで、そのまま二人は帰ってしまったのである。
まさか、あそこまで深く副店長が傷付いているとは知らずに・・・
翌朝 8時前。
この日も末永さんと鈴木すず子の二人が早朝からの勤務で、昨日と同じ場所で顔を合わせた。
「おはようございます・・・・
えっ・・・? え?
」
俺は、よほど顔色が悪かったのだろう。
青汁を飲んで、顔まで青白くなってしまったのかもしれない。
わずか一晩の間に・・・。
末永さんも鈴木すず子も 今朝はいたって普通に朝の挨拶をしたのだが、
どよ~んとした俺と目が合うと、ただ、 えっ?
えっ? と繰り返していたのだった・・・。
こうしてー。ベストスマイル賞は静かに幕を閉じた・・・。
そう・・・・とても、静に・・・。
結果発表から数日後。
俺は にこちゃんマークのワッペンを外した。
とうとう、、、、終わったか・・・。
正直、凹むよな・・・・。
プラットホームから今日も真夏の青空を眺め、感慨深い想いでいっぱいの俺。
泣きたくなるようなときだってある。
まずい青汁を飲んで 顔も心も青汁色に染まったときなどは、特にな。
上司の俺から声をかけても、部下の返答がなかったときなどな。
スマイルさんに我がグロッサリーから選出されなかったときもな・・・。
それでも笑顔で^0^上司の勤めを果たすことは容易ではないな・・・。
仕事を終えて、二階の更衣室へ上がっていこうとしている末永さんと鈴木すず子の二人に偶然会った。俺の目線は、自然と二人のニコちゃんマークに注がれる。
もう、終わったというのに。
「二人共、もう、ニコちゃんマークは外してください。キャンペーンは終わりましたから」
終わったと聞いて、安心したように、は~い と二人はとても良い返事をした。
階段を上がりかけた二人を俺は、再び呼び止めた。
「あっ、ちょっと待って!
キャンペーンは終わっても、
いつも にこにこするように!」
二人は顔を見合わせつつ、ちょっと ひきつったような笑顔を作った・・・。
こうしちゃいられない。
すでに終わってしまったキャンペーンの本来の目的を俺自身が見失っては困るな。気持ちを切り替えて、俺は今から北海道フェアの売場作りだ!
そう・・・今日も笑顔で。