golf130のクラシックお笑い原理主義

オッサンのしがない日常や妄想話とその日聴いた音楽。

「モーツァルト・ヴァリエーションズ」鈴木大介

2010-05-09 22:17:35 | Weblog
レギュラー盤の価格って、何とかならないのですかね?

大家の定評のある名演が、1,000円程度の廉価盤やBOXだと1枚当り2~300円から手に入るじゃないですか。

歴史的音源だと100円~ですね。

これに対して、若手の新譜が2,500円とか3,000円とかでしょ。

私は決して懐古主義者でも無いし、新進の方も含めて旬の演奏家をもっと聴きたいと思っております。

しかし、あまりにもCDの価格乖離が大き過ぎる!

結果、ついつい安価な名演奏家の音源に走ってしまう。

レコード会社さん、レギュラー盤1,500円に値下げしません?1,700円でも良いですよ。

NAXOS+αの価格で新譜が手に入るのなら、もっともっと買うのですが…。

鈴木大介(ギター)(Bellwood盤)

これも図書館から借りて来たCD。

以前も書いたことがありますが、鈴木大介さんが近所のカルチャースクールで教えていらっしゃって、一時期習いに行っていたことがあります。

武満徹ギター曲集のCDを聴いて「凄いギタリスト!」と思っていましたが、その凄い奏者が近所で安価なレッスン料で教えて下さるとなれば行かない手はありません。

当時、仕事が忙しかったこともあり、いつも殆ど練習せずぶっつけ本番でレッスンに臨む、しかも極めて覚えの悪い万年初心者のオヤジにも丁寧に教えて頂きました。

鈴木先生は演奏活動等お忙しくなり、残念ながら途中で別の先生に変わりました。

新しい先生もとても素晴らしい方でしたが、生徒が少なくなり、ギター講座は暫く後閉鎖されてしまいました。

私が、鈴木大介さんは「凄い!」と思うのは、ギタリストである前に素晴らしい音楽性を持った音楽家であることです。

クラシックギターという、クラシック音楽の本流から外れた所にある?楽器の所為か、「音楽を表現する手段としてギターが存在している」のでは無く、「ギター演奏そのものが目的で音楽が置き去りにされている」ようにさえ感じる演奏に出くわすこともあります。

美しい音楽が鳴っているのではなく、上手いギターが鳴っている、と。

ところが、鈴木大介さんの演奏からは常に素晴らしい音楽が聞こえて来るのです。極論すると「ああ、そういえばギターで演奏していたんだ」と後から気が付くパターン。

素晴らしい技巧を持った奏者なのに、それをこれ見よがしにひけらかすようなことは全くありません。

このディスクに収められた古典派~ロマン派のギタリスト兼作曲家の高度に技巧的な変奏曲でも、その生み出される音楽はあくまでも自然。

「ギターのベートーヴェン」とも称される古典派のギタリスト兼作曲家の代表格フェルナンド・ソル(1778~1839)。「《魔笛》の主題による変奏曲」は代表作で、古今の有名ギタリストの録音もいくつか聴いていますが、トップクラスの名演に思います。清潔で美しい歌が流れている、しかし、落ち着いた佇まいで気品があります。

「《魔笛》からの6つのアリア」は、「僧侶たちの行進」、「女の妖計から身を守れ」、「ふたたびようこそ」、「これはなんと素敵な響きだ」、「心正しい人がすべてこんな鈴を持ったら」、「イシスとオシリスの神よ」というアリアをギター用にパラフレーズした作品。

ルイジ・モレッティ(?~?)という名前は初めて知りました。名前だけは知っているフェデリコ・モレッティ(?~1838)というギタリスト兼作曲家の兄弟とのこと。「《フィガロの結婚》による序奏と変奏」は、「もう飛ぶまいぞこの蝶々」を主題とする小品ながらもドラマチックな変奏曲。最後の超絶技巧的な第6変奏も快感。

やはり、初めて知ったヤン・ネポムツェン・ボブロヴィッツ(1805~1881)というポーランドの作曲家は、リストから「ギターのショパン」と讃えられ、クララ・シューマンとも共演したことがあるそう。

ドン・ジョバンニの「お手をどうぞ」によるこの変奏曲も抒情的かつ技巧的な佳品。

ヨーゼフ・カスパル・メルツ(1806~1856)は、ギター界ではそれなりに有名な人。

「《ドン・ジョバンニ》の主題によるファンタジー」は、「お手をどうぞ」、「さあ窓辺においで」、「酒がまわったら」を織り込んだ楽しい曲。

ギターによるモーツァルト変奏曲の類いって、ソルのものしか知らなかったのですが、他にもこんなに素敵な曲があるということも初めて知りました。

これに、モーツァルトのディヴェルティメントから抜粋編曲された作品が加わっています。

モーツァルトの「魔笛」と「ドン・ジョバンニ」から主題を採った美しく心地良い変奏作品集、新緑の美しくこの季節にピッタリです。

このディスク、発売された時(2006年)にも欲しかったのですが、3,000円の価格に引いてしまいました。すいません、鈴木先生m(__)m。

しかし、予想以上の素晴らしい内容。3,000円以上の価値があることは間違いないのですが、せめて2,000円程度で提供して欲しいです。

・ソル「《魔笛》の主題による変奏曲」
・モレッティ「《フィガロの結婚》による序奏と変奏」
・ソル「《魔笛》からの6つのアリア」
・ボブロヴィッツ「《ドン・ジョバンニ》の主題による変奏曲」
・モーツァルト(フィスク編)「ディヴェルティメントK.439b」より
・メルツ「《ドン・ジョバンニ》の主題によるファンタジー」

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
マジですか?! (minamina)
2010-05-10 22:12:53
いやすごい、鈴木大介さんに教わったことがあるなんて!
私も大介さんのギターは好きなのですが、自分で買ったのは1枚だけ(「どですかでん」:武満徹作品集)。あとはgolfさんと同じく図書館で借りて・・・。
やっぱり1枚3000円とか言われると、貧乏性の私はなかなか手が出しにくい。これで立ち飲み2回はいけるよなぁ~とか思っちゃうと(苦笑)。

それにしてもモーツァルトの作品集もきっと素晴らしい演奏なのでしょうね。ぜひ聴いてみたいと思います。
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1枚3000円? (安倍禮爾)
2010-05-10 23:50:33
golf130さん

 1枚3000円?、何と!。今日は久しぶりに池袋のディスクユニオンへ行ったら、フランソワのEMIのショパン作品大成を10枚組で税込2740円で売っていて、つい買ってしまいました。これだと税込みで、1枚274円でしょう?
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飲み屋⇔レギュラー盤相互変換 (golf130)
2010-05-11 07:15:27
minaminaさん
コメント有難うございます。
鈴木大介さんのギター素晴らしいでしょ♪是非このディスクもお聴きになられてみて下さい。
私も、ショップでレギュラー盤を目の前にすると、これで立呑屋1回分か?(2回じゃないです。如何に飲んで食べるかということですね(笑))と考えてしまいます。
一方、飲んで帰る時には、飲まなきゃレギュラー盤が買えたのにトホホ、とも考えてしまいます。悩みは尽きません(笑)。
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フランソワの10枚組 (golf130)
2010-05-11 07:27:22
安倍禮爾さん
コメント有難うございます。
CD出始めの頃は、3,500円のCDも高いなと思いながらも購入しておりました。
しかし、こうもCDが安くなると1枚3,000円はなかなか手が出せません。

フランソワの10枚組2,740円は安いですよね~。嗚呼、昨日飲みに行かなきゃ買えたのに…。
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