一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『インフォーマント』

2010-09-08 | キネマ
アメリカの大企業の幹部社員が会社の価格カルテルを内部告発したが・・・という映画。

冒頭に、この映画は実話に基づく、というテロップが流れますが、それがないと脚本として破綻しているのではないかと思うような不思議な話です。

内部告発物としては、タバコ会社を舞台にした『インサイダー』がありますが、それとは対極的な、でも実際はこんなものなのかもしれない、とも思わせるような映画になっています。


(以下ネタばれあり)



そもそも主人公が内部告発に至った経緯も、正義感であったり、処遇への不満であったりという明確なものではなく、その場その場の状況に対応するうちに成り行きで捜査に協力した感じです。

なにしろ主人公は年収35万ドルのうえに、業者からその数十倍のリベートを受け取っているわりに、捜査協力の前提として司法取引をするでもなく、また自分自身の生活への不安等の葛藤もなく、傍から見ると合理性に欠ける行動に見えます。
主人公は、自分は優秀な技術者であるので悪い目にあうはずがないという悪びれなさ至るところで発揮し、会社だけでなく司法当局も混乱に巻き込みながら事態は展開します。
そして最後に、主人公の「優秀さ」が証明されるというオチ(これが実話だからすごい。日本ではまずありえない)までついています。


企業が従業員を経済合理性やその他のインセンティブでコントロールしようとしても、この映画の主人公のように予想外の行動をする人間というのは必ずいるので、不祥事の隠蔽は難しい、という教訓にもなると思います。


PS
映画の中で、カルテルに関わった企業として味の素など日本企業も実名で出てきてしまうのですが、事実なので文句も言えないところがつらいところです。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする